大西洋クロマグロの国際取引を禁止する案がワシントン条約で否決された。食文化の違いでもある鯨とは違い、マグロ問題の背景にはビジネス構造がある。もともとは日本の食を守るため確立された蓄養が、マグロの乱獲を招いた。 築地市場にも近い東京港・大井埠頭。4月下旬、この埠頭に地中海の“生け簀”で育った大西洋クロマグロを積んだ船が接岸した。マイナス60度の超低温で凍らせたマグロが船から保冷車に移され、商社や水産会社の冷凍倉庫に運ばれていく。大西洋クロマグロが日本に輸入されるのは3~4月がピーク。倉庫に搬入された大量の冷凍マグロは向こう1年間、日本の食卓への安定供給を約束してくれる。 3月にカタール・ドーハで開かれた野生生物の国際取引を規制するワシントン条約締約国会議で、大西洋クロマグロを「付属書?(禁輸)」にする案が否決されたのは記憶に新しい。資源枯渇を理由に禁輸案に賛成する欧州連合(EU)と米国に対し