今回の減反廃止報道には驚いた。政策ではなく、報道に驚いたのである。10月24日、私はワシントンにある全米屈指のシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)のシンポジウムで登壇し、アベノミクス第三の矢の農業政策が掲げる6次産業化、輸出振興、農地の中間管理機構は全て過去に失敗した政策のリメイクに過ぎず、減反という戦後農政の岩盤中の岩盤を崩さない限り、日本農業に将来はないと主張していた。その翌日、空港で日本の新聞を開くと、減反廃止の見出しが、踊っていた。本当なら安倍政権の大英断だ。私の長年の主張が実ったのかと思った。 しかし、帰国してから、農業界が平穏なことに気付いた。減反廃止なら米価の大幅引下げである。JA農協や自民党の農林族が騒がないわけがない。マスコミ報道とは逆に、自民党や農林水産省の担当者は、生産調整は大事だとか、米価は下げないとか主張している。 今回の政策変更を正確に報道しているのは、日