世界の主要国が着々と出口に近づく中で、日本だけが反対方向に進んでいるようだ。リーマン・ショック後に導入した異例の景気刺激策を解除していく「出口戦略」で鮮明になってきた日本と他国の違いである。 日銀が昨年末に続き、追加の金融緩和を決めた。確かに物価の下落は続いているが、今なぜ追加策なのか、と首をかしげてしまう。 危機対策が相次ぎ打ち出された2008年末当時と比べ、世界経済も日本経済もはるかに明るい。日本の景気が「二番底」に沈む心配も薄れ、政府はこのほど景気判断を「着実に持ち直してきている」と上方修正した。日銀も基本的に同じ立場だ。 回復してきた景気をさらに後押しする狙いなのかもしれないが、すでに金利は歴史的に低い水準まで下がっており、追加的な効果はほとんど期待しにくい。逆に、日本の金利が上昇に向かう時期はさらに遠のいたとの見方が強まって、円で資金を借り、より高い利益が見込める国外で運用する動