あの青宝トンネル旧道の激闘も、この探索の前座に過ぎなかった。 (でも、前座で敗北してるんですが…) 私が青ヶ島で一番行きたかった場所、大千代おおちよ港。 これはその挑戦の記録。 しかし、最新の地理院地図に堂々と「地方港」の記号で描かれている港に、なぜ私が行きたいのか。 愚問。 もちろんそれは、廃道があるからだ。 私の探索の腕を試し、同時に好奇心を最大に満たす、厳しい廃道探索の舞台があると確信したからである。 しかも、事前に少しだけ歴史を知っただけで、その凄絶過ぎるストーリーに惚れ込んでしまった。 青ヶ島という、廃道趣味者にとっては聖地的な凄みを持つ小世界の中においても、大千代港こそが最強の存在だと思っている。 そんな大千代港は、青ヶ島全体を4地区に分けた場合の東側外輪山一帯を指す北山地区にある。(他の地区は、村落がある北部外輪山上の岡部、西側外輪山一帯の上手、島の南半分を締めるカルデラ及び