内田樹『街場のマンガ論』(2010年小学館クリエイティブ、1400円+税、amazon)読みました。 思想家にして名エッセイスト、ファンの多いウチダ先生の著書について、わたしが何か書くのもおこがましいのですが、「内田樹の研究室」に「マンガ好きのみなさん、買ってね」とありましたのでマンガ好きとしてちょっとひとこと。 タイトルは「マンガ論」ですが、多くの部分は軽いエッセイ。軽いというのはその文章の書きようで、まさに風に舞う羽根のごとし。そこにキモとなる自説をちょいちょいと挟み込むから、読みやすくてためになるのがウチダ先生のエッセイですね。 でも軽エッセイだから、細かい論証はされてない。 たとえばこういう文章。 日本の戦後マンガのヒーローものの説話的定型は「生来ひ弱な少年」が、もののはずみで「恐るべき破壊力をもったモビルスーツ状のメカ」の「操縦」を委ねられ、「無垢な魂を持った少年」だけが操作でき