東北地方在住の田山かなえさん(33)=仮名=は、知的障害がある両親のもとで育った。なぜ、うちの家には「できない」ことが多いのだろう。葛藤を抱き、両親への諦めや反発を抱きながら生きてきた。そんな自らを見つめ直すようになったきっかけは、高校生の時、父が病死したことだった。「もっと理解すればよかった」 大学を卒業し、働きながら子どもを育てる今、感じることは「できない」ながら、愛情を注いでくれていた両親と、支えてくれた恩人の存在の大きさだ。(共同通信=船木敬太) 物心ついた後、幼い頃に覚えているのは、会話が乏しいわが家だった。知的障害がある両親はコミュニケーションが苦手。ただ、小さい頃の田山さんには「それが普通」だった。父は障害者向けの作業所で真面目に働き、病院の清掃などをしていた母はレパートリーが多くはないが料理をし、掃除や洗濯など家事もこなしていた。「決してヤングケアラーではなかった」と振り返