国内系、外資系運用会社を渡り歩き、株式投資の最前線に20年以上携わった後、現在はマネックス証券チーフ・ストラテジストを務める広木隆氏が、「経済のミカタとカラクリ」をわかりやすく解説します。 昨年末から世界の金融資本市場の一大波乱要因となってきたのが、原油価格の急落である。一向に歯止めがかからない原油安のせいで、産油国の株・通貨のみならず、米国をはじめとする世界の株が売られた。リスク回避の流れが強まり、外国為替市場では安全通貨とされる円に資金が回帰し、円高に巻き戻った。また、原油価格の下落が物価上昇率を押し下げる、すなわちデフレ圧力を高めるとの思惑から、全世界的に金利低下に拍車がかかった。 そもそも、この原油価格下落の背景はなんだろうか。原油に限らずコモディティ(金融商品)の価格決定メカニズムは、潜在的な需給状況が長期的な価格トレンドを規定し、そこに市場のセンチメントや期待を動かす短期的な要
