「自己責任」「利他の否定(困っている人を助けるべきではない、例えば生活保護)」は、現代日本の社会や政治を考える上で必要な概念である。 安丸良夫『日本の近代化と民衆思想』は、こうした日本人の考え方が江戸末期から明治時代にかけて形成された民衆思想が基になった経緯を説明し、「通俗道徳.」と名付けた。 貧困率が20%近い日本で自民党がなぜ勝ち続けるのか(今回も負けたとはいえ、最大得票・議席=有権者による議員汚職や腐敗官僚の肯定)、貧困層が投票を拒否し、あるいはなぜ自民党に投じてしまうかを理解するには、本書を熟読する必要がある。