害虫や外来種を駆除するために原産地の天敵を導入するのが「古典的生物(的)防除」と呼ばれる考え方です。これまでにも繰り返し述べてきたように、この人為的な外来種の導入はしばしば標的としない生物にも影響を与えるという意味で、その問題点が指摘され、論争を巻き起こしてきました(参考:生物的防除が落とした影 1, 2, 3, 4, 5)。 私の印象では、ハワイのような特殊な島環境では生物防除の危険性は高いという負の印象を受ける一方、大陸環境では、まだまだ生物防除の有効性を信じているか、その低い成功率を向上させたいという熱意が未だ強い印象を受けます。 生物学的防除に見られるような、天敵が害虫や害草の個体数を制御するという生態的な機能を「トップダウン制御(Top-down control)」と呼んでいます。このような動物が持つ生態系機能を大規模に利用しようという提案がなされ、ちょっとした論争になりました。