ビジネスの世界ではイノベーションという言葉がよく登場します。「イノベーション戦略」や「イノベーション人材」という言葉まであります。しかし、そもそもイノベーションとは何でしょうか? 日本では「技術革新」と訳されたことにより、大きく誤解されている言葉でもあります。本記事ではイノベーションについて、その「発見」から紹介していきたいと思います。 イノベーションの「発見者」イノベーションという「現象」を発見したのは、経済学者のヨーゼフ・シュンペーター(1883-1950)です。1912年に発表した『経済発展の理論(上)(下)』(岩波文庫)において、その理論は明確にされていますが、同書を読むには経済学の基礎知識(均衡、限界生産性、収穫逓減など)が必要な上、その文章も難解とされています。そこで本記事では、シュンペーターの伝記であり経済理論の解説書でもある伊藤・根井『シュンペーター』(岩波新書)を紹介しま