銀座の裏通りにある、わずか5坪の小さな書店。その大きな特徴は「1冊の本を売る書店」である、ということ。今月はそんな「森岡書店」の店主・森岡督行さんに、少々トガったビジネスモデルのディテールと森岡さんの人となり、そして開店からのこの1年間について、お話をうかがっていく。 文=前田成彦(Office221) 写真=三輪憲亮 Part.1 ■作った人と読む人が、密接につながる場を作る。 銀座一丁目の静かな裏通りにひっそりとたたずむ、レンガ造りのビル。昭和4年竣工の、東京都選定歴史的建造物に指定されたこの建物の1階に「森岡書店」はある。店内のスペースはわずか5坪。オープン1年になるここの面白さは何といっても、店のコンセプトだろう。 「扱う本は、1週間で1タイトルのみ。販売するのは1冊の本と、そこから派生するグッズや作品です。言い換えれば『1冊の本から派生する展覧会を行う書店』とも呼べますね」 語る