「コード・ブッダ」 [著]円城塔 21世紀は「生成」を好む時代、つまり20世紀の社会主義国家のような「計画」を嫌う時代である。IT企業とユーザーは、特定の誰かの指令ではなく、パターンの機械学習からおのずと秩序ができあがる世界を望んでいる。生成AIはその名からして現代の価値観を示しているのだ。 もっとも「生成と消滅」をエンドレス(目的なし)に繰り返す情報の世界はどこか空虚である。では、この膨大なデータの流通する巨大な真空から、いつか機械の「救済」を説くAIが現れたとしたらどうか――この奇想天外なアイディアを、おおまじめに小説に仕立てたのが本書である。 冒頭「ブッダ」を名乗る対話プログラムが現れて、機械たちに教えを説き始める。たちまち仏教と機械がもつれあって、家電マニュアルのような規律や解釈が生成される一方、AIは成仏できるか、アルゴリズム(計算手順)を破るアルゴリズムはあるか、機械に葬儀の権
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