<私たちには、昔ながらの方法で授かった2人の息子がいるが、彼らが青年期に近づくにつれて、家族にもう1人子どもが──赤ん坊よりも年上の女の子が──欲しいという思いに、私たちは取りつかれた。> これはデボラ・L・スパー著『ベビー・ビジネス 生命を売買する新市場の実態』(ランダムハウス講談社)の巻末に記された著者自身の言葉である。 2人の息子を持つ夫婦が、家族の安定のために、兄弟の姉となる女の子を養子としてもらおうと考える。こうした内容の発言を聞いて、その意味するところがすぐに飲み込める日本人はほとんどいないだろう。しかし米国においてはごく普通の発想であるらしく、実際にスパー夫妻はロシア生まれの女の子を養子として迎え入れる。 ★ ★ ★ ★ 「養子の輸入大国」とも称される米国の存在なくして、国際養子縁組は成り立たない。 この数年、米国では毎年2万3000件前後の国際養子縁