今作を通じて、堀江があらためて見つめる“好きなもの”、“やりたいこと”とは一体なんだったのか。一つひとつ、じっくり語ってくれた1万字インタビューをここにお送りする。(編集部) “夜から夜明け”の世界と“夏”の切り取り方 ――今回のニューアルバム『文学少女の歌集III-文学少女と夜明けのバス停-』は、2019年から続く『文学少女の歌集』シリーズの第3弾になります。それまでの作品でシリーズ化というのはなかったことですし、堀江さんのなかで「文学少女」というモチーフがしっくりきているのでしょうか。 堀江由衣(以下、堀江):そうですね。これまでもいろんなタイトルのアルバムを制作してきて、その時々で表現の仕方は少しずつ違っていたのですが、根底にある“好きなもの”、“やりたいこと”は近しいものだなと思っていて。毎回、「こういう女の子が、こういう家に住んでいて……」というようなことを手を変え品を変え、表現