まるで守られているような コンクリートキューブの中で、 今日もわたしたちは呼吸する。 ふたりで肩を寄せ合って、 相手のことを気遣いながら。 「ふたり入居も相談できるって」 彼女の言葉をきっかけに、 少しずつ身を寄せたこの部屋。 くるりと見渡せば 必ず視界に片方が入る、 こじんまりとした空間。 それがたまらなく心地いい。 仕事から疲れて 帰ってきた彼女の顔が、 扉の向こうにひょこっと。 眉間に寄せられたしわが、 「おかえり」と声をかけると やわらかくゆるむのがいい。 ふたり分の服たちで ふくれたクローゼット。 あまり増やしすぎても 収納できなくなるから、 自然と服や小物を シェアするようになった。 仕事の愚痴を、 彼女はあまり言わない。 けれど疲れているときは、 無言のひっつきむしになる。 身体の一部がぺたりと くっついているときは、 いまは充電中なんだなと 思うようにしている。 それでも元