西洋文明と「未開社会」の接触によって生まれた“フェティッシュ”と、その後、原始宗教として蔑まれた“フェティシズム”の誕生の歴史を検証。モノが信仰と欲望の対象となり、商品/… フェティッシュとは何か その問いの系譜 [著]ウィリアム・ピーツ フェティシズムという概念は、フランスの思想家ド・ブロスが『フェティシュ諸神の崇拝』(1760年)で定式化したもので、アフリカの住民の間で行われていた護符・呪物崇拝を意味していた。アダム・スミス以来経済学者が商品の価値をその生産に要した労働から来ると考えたのに対して、マルクスは『資本論』で、物の交換価値を、物に付着したフェティッシュ(霊の力)のようなものだと考えた。そして、それが商品から貨幣・資本に発展する姿を、「精神」(霊)の発展を論じたヘーゲル哲学に合わせて書いた。 しかし、以後、このフェティシズムが重視されなかったことにはいくつかの理由がある。『資本