明治維新以降、日本の哲学者たちは悩み続けてきた。「言葉」や「身体」、「自然」、「社会・国家」とは何かを考え続けてきた。そんな先人たちの知的格闘の延長線上に、今日の私たちは立っている。『日本哲学入門』では、日本人が何を考えてきたのか、その本質を紹介している。 ※本記事は藤田正勝『日本哲学入門』から抜粋、編集したものです。 そもそも「哲学」ってなに? 本書では「経験」や「自己」、「自然」、「美」などのテーマを立て、日本の哲学がどのような思索を展開してきたのか、その特徴や意義について考え、魅力を明らかにしたいと考えている。本講ではそれに先だって、明治の初めに哲学がどのように受けとめられ、どのような形で受容されていったのか、その苦闘の跡をたどってみたい。それはとりもなおさず、当時の人々──具体的には西周、福沢諭吉、中江兆民を取りあげる──が従来の世界観のどこに問題を見いだしたのか、新たに接した学問