彼らは労働規制緩和の受益者なのだ。日本的雇用制度においては若者と女性は犠牲者であって、新自由主義によって開放されたのである。 私が社会に出た90年代前半というのは、ちょうど日本型経営が疑問視され、企業の人事制度改革と労働規制の緩和が行なわれた時代だ。 上司の係長に、「お前のやっている仕事、俺は30歳になるまでやらせてもらえなかった。」「入社して3年間は湾岸の倉庫番をやらされた」等と言った苦労話を聞かされたものだ。 どこの会社にも誰でもできる単純な仕事というのがあるが、かつてはそのような仕事のうち肉体労働は若手男子社員が、事務作業は女性社員が担っていたのだ。民間企業では、大卒の幹部候補生も、修行だと行って入社後数年間は現場で汗をかかせる会社も多かった。 私が新入社員の時は過渡期であったが、今では幹部候補の新入社員は即本社配属で、若いうちからどんどん経営に直結するような仕事をやらせるようになっ