いまやJポップを凌ぎカラオケランキングの上位にランクインするようにまでなった初音ミクをはじめとするボーカロイド(ボカロ)の楽曲。ボカロは、単にオタクのためのキャラクターというだけでなく、音楽業界にも影響を及ぼす存在となっている。そんなボカロの音楽的な側面について語った『初音ミクはなぜ世界を変えたのか?』(柴那典/太田出版)から、ボカロが音楽業界にもたらした影響を見てみよう。 まずひとつめは、音楽の売り方。初音ミクが生まれた2007年には、コンピュータの普及で誰もが簡単にCDをコピーできるようになり、CDが売れなくなっていた。そのため、音楽産業はコピーを制限しようと必死になったが、CDの購入意欲を回復させることには繋がらなかったという。そんな状況のなかで、ボカロの楽曲はパッケージされたものを手に入れて評価するのではなく、ニコニコ動画でアップされた無料の曲に対し、ユーザーから評価してもらうとい