近年、獣害の増加が農山村の重大問題になっている。 イノシシ、シカ、カモシカ、サル、それにクマやカラスまで野生動物による被害が増えているのだ。とくに農林業における損害は大きい。一夜にして収穫前の田畑の作物が荒らされ全滅する。林業にいたっては、40年50年と育ててきたスギや檜の樹皮をはがれて、木材としての商品価値を失う……。 これらが遠因となって、農山村から人がいなくなると言われるほどだ。先祖代々の農地や山林を守ってきた住人の生活の糧を奪われ、何より生きがいを消失して、故郷を捨てるのである。 なぜ獣害が増えたのか。 その理由によく挙げられるのが、ハンター(狩猟者)の激減である。これまで有害駆除をになってきたハンターの人数が、過疎高齢化もあって激減している。具体的には、1970年に53万人、1990年に30万人いたのが、2010年度は19万人だ。しかも平均年齢は、60歳以上の割合が66%に上昇し
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