いにしえの偉人、達人の知恵と言の葉のエッセンスを、古典の名言、名文から汲み取り、分かち合うためのページです。日本精神文化を代表する能、茶道、武士道、俳諧、禅などの古典名著から毎回、名言・名句をピックアップ。解説とともにおすすめ作品の本文を現代語訳にて抜粋、ご紹介していきます。 心にしみる名言、知恵と勇気がわいてくる名文を、千年の名著から毎回お届けします。 名言名句 第七十回 入若耶渓 鳥鳴きて山更に幽なり。 No.86 鳥鳴きて山更に幽なり。 ~王籍『入若耶渓』 茶席の禅語として古くから親しまれる漢詩の一文です。 この一句のみ書かれることが多いのですが、もとの形は、漢詩の中の次の対句。 (原文) 蝉噪林逾静 鳥鳴山更幽 (読み) 蝉噪(さわ)ぎて林逾(いよいよ)静かに 鳥鳴きて山更に幽(ゆう)なり 作者は中国、梁の詩人、王籍。「若耶渓(じゃくやけい)」とは、浙江省にある風光明媚な渓流の名で