朝鮮半島は日本外交の大きな試練 東アジアの未来について、楽観論と悲観論が同居する世界となるのではないかと申し上げました。つまり、楽観論と悲観論の論拠となる事態が別個に進行しているということであり、今後数年の些細な時代の成り行きによって、どちらにも振れ得る脆弱な基盤の上にあるということです。その中にあって、日韓関係が短期的に改善する可能性はほとんど存在しません。本日は、もう少し中長期的な視点をもって、未来に目を向けたいと思います。 日本外交にとって、朝鮮半島情勢は長らく日本の運命に最も深くかかわる国際問題でした。それは、遠い古代においても、近代においてもそうでした。明治維新を通じて近代化の第一歩を踏み出した日本は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、朝鮮半島をめぐる国際政治情勢を背景として、中国やロシアと戦ったわけです。 戦前の日本の戦略思想においては、日本の安全保障のために朝鮮半島を自らの