本連載「グローバル教育考」では、海外と日本をつなぐ教育の動きを追っているが、今回、日本における教育の基本となっている「日本語」についても考えてみたい。終戦直後、日本を占領した連合国軍総司令部(GHQ)は漢字を廃止し、ローマ字にしようとした。日本語、中でも漢字の扱いについては、国語学者のみならず、知識人を巻き込んだ、戦後の大きな課題だった。「漢字廃止論」や「漢字制限論」の歴史を振り返りつつ、日本語を思考に使う意味を考えてみる。(朝日新聞編集委員・山脇岳志=写真も、文中敬称略) 京都・祇園にある八坂神社の周辺は、着物姿の女性が目立つ。派手な柄の着物はレンタルショップで借りる人が多く、中国からの観光客が特に多いのだという。 その八坂神社のそばに「漢字ミュージアム」(漢検漢字博物館・図書館)がある。年200万人以上が受験する「漢検」の日本漢字能力検定協会が、2016年に開設した。2階建ての館内を歩