個人で経営する小さな模型店が次々と姿を消している。そんな中、鉄道模型の在庫が豊富で「イタモ」の愛称で親しまれてきた神戸市須磨区の「板宿(いたやど)模型」が、今年いっぱいで60年の歴史に幕を下ろす。子供の遊びの主流がゲームへと移り、品ぞろえや価格に強みを持つ家電量販店やインターネットによる新しい販路も登場し、「街のプラモデル屋」が苦戦を強いられていることが背景にあるようだ。ただ、愛好家からは「(模型店は)店ごとに在庫が違い、店主のこだわりを感じることができる」との声も。「昭和の面影」を残す小さな模型店の魅力とはどんなものなのだろうか。(森勇人)店内にファン殺到 ある土曜日の正午ごろ。山陽電鉄板宿駅(神戸市須磨区)近くの商店街にある「板宿模型」の前には、まだシャッターが下りているにもかかわらず、大勢の人が開店を待っていた。 昭和28年ごろに開店した同店は、店主の松本猛志さんが、妻の照子さん(7