醜の美学 作者: カールローゼンクランツ,Johann Karl Friedrich Rosenkranz,鈴木芳子出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2007/02/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る くわしい感想をいずれ書くと言いながら放ったらかしにしていた本。 しかしこれが日本語になったのはやはり一つの事件だと思う。この本のなんたるかを知るには種村季弘『ザッヘル・マゾッホの世界』の第七章を読むにしくはない。ゴシック・カルチャーとのかかわりを説明したくだりを少しだけ引用すると: ……〈醜〉が擁護され、礼賛され、勝利する」そのような時代である。とはつまり中世であるが、中世そのものではなくて、近代の中にも底流している中世的ゴシック的グロテスク嗜好と言うのが正確だろう。近代美学の擬古典主義的合理主義の背後もしくは下にあって、暗く冷たい場所に跼蹐し