従来の1000倍の速度で水をろ過し、濁った水を透明にしたり農薬やウイルスを取り除いたりできる膜を、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の一ノ瀬泉・ナノ有機センター長らが開発した。水質浄化の低コスト化につながるほか、将来は人工透析など医療への応用も考えられるという。 開発したのは、たんぱく質「フェリチン」などを材料にした厚さ約60ナノメートル(ナノは10億分の1)の膜。従来より厚さが1000分の1と薄い。水の分子の約10倍という直径約2ナノメートルの穴が多数あり水は流れるが、ウイルス(直径数十ナノメートル)や水を濁らせる物質は遮断される。 この膜に1気圧相当の水圧をかけると、1平方メートルあたり毎時約9000リットルの水がろ過でき、従来の約1000倍の速さだった。原料費は膜1平方メートルで約800円という。 ろ過速度は圧力に比例して上がる。従来は水圧を数十気圧まで高めて速度を上げていたが、今