感情を振り切って、荒々しく声を上げ、土臭いほどストレートに「かぶく」ことで人間を描き出す。ここ10数年、現代演劇界の主流であった「静かな演劇」とは真逆の道を、愚直なまでに突き詰めてきた劇団鹿殺しが今年15周年を迎え、新作『名なしの侍』で、総動員数1万人を目指す挑戦へと歩みを進めた。 そんな劇団鹿殺しの舞台を観て「現代の歌舞伎」と呼ぶ、歌舞伎俳優六代目中村勘九郎。かたや伝統ある歌舞伎の世界と、エモーションが炸裂する現代劇の世界はどのようにリンクしていくのだろうか? 巨大な伝統芸能・歌舞伎への複雑な思いと、エンターテイメントを見せることへのこだわりが交差した赤裸々な対談となった。 唐十郎さんは巨匠なのに、徹底的に「バカバカしい」ことをしていたんです。これが演劇だとしたら、私たちも続けていく希望があると思いました。(菜月) ―中村勘九郎さんと劇団鹿殺し、意外な組み合わせに思える対談ですが、じつは