落暉がスタートの合図。オリオン座と北斗七星に挟まれた薄白い三日月が次第に檸檬色に形成され、宵闇迫る海に接する正面の陸地には人間が造った暖かな夜色がマリーアントワネットの宝石箱をひっくり返した様に散らばり煌めき始める。此方を照らす眩し過ぎるイカ釣り漁船。文明の利器を憾み睨めど北風は冷たく頬を刺す。振り返れば0勝4敗。悔しい…。今夜こそ僕は君をこの手でモノにする。戦闘開始。ぼうっと光るケミホタルの浮きを投げ入れれば海に降る流れ星のよう。僕は、天と海原を曖昧に眺め、「喰い付け」と何度も願う。声は届かず途方に暮れる。気づけばもう7時間を経過している。檸檬の月はオレンジに暗黒の海に妖艶な光を反射させ、揺らめきを凝視し続けると吸い込まれそうになりぞっとする。顔、つま先、指先が悴み意識が遠のく。もうだめかいやまだ諦めない。君は何処にいるんだ。ここかこっちなのか。こんな暗闇の中で見えない相手に確実な方法な