耳元で「東大に行け」と怒鳴り続け、「医者になれ」と娘を暴行…弁護士が見た「教育虐待」エスカレートする親たち 愛知県名古屋市で父親が小学6年生の息子を刺殺した事件(2016年)を機に、「教育虐待」への関心が高まっている。「なぜこんな簡単な問題が解けないの」「この問題ができるまで、ご飯は抜き」――。親が強制する勉強に、心の中で悲鳴をあげる子どもたち。 親の言葉に傷ついても、多くの子どもたちは親や家から逃げ出せない。そして親は「子どものため」にと大義名分を掲げるために、エスカレートしてしまう実態がある。 子どもの人権を守るために30年以上、活動している坪井節子弁護士に、教育虐待の実態や弁護士たちの取り組みについて聞いた。(ルポライター・樋田敦子) ●1986年当時「虐待」という言葉はなかった 教育虐待が背景にあるとみられる事件は、過去にも複数、起きている。1980年には、男子予備校生が、両親を金