「江戸時代には、あんなに売れた駕籠が、イマでは売れない。若者の駕籠離れか」 「人口動態の変化かもしれない」 「どうしたら売れるのだろう」 「技術革新はどうでしょう。軽量化のために、カーボンファイバーで駕籠をつくりましょう。振動を抑えるためにダンパーを装備、中ではWiFiを使えるように」 「握手券つけたら?」 「流行りの、萌え駕籠はどうでしょう」 議論は白熱した。そこへ、長老の声が響いた。 「おぬしら、本当に良い駕籠が開発できれば、飛ぶように売れる筈じゃ。おぬしらの駕籠はその域に達しておらんぞ」 「その駕籠で乗りつければ、若い女性が寄ってくるような、そんな駕籠を開発せい」 本当に良い駕籠を開発するための会議は、今日も続いている。