母との「話し合い」は、必ずウィスキーの水割りを作るところからはじまる。 母はソファーに深く腰掛け、煙草に火を付け、こちらをじろりと睨む。 発せられる言葉は決まっている。 「で、どうしたいの?」 ソファーの前の床で、自分は正座をしている。 この「話し合い」が生じた原因は、恐らく塾の成績のことだ。 模試の成績が、母が思うほど良くなかった。学習態度が悪い。恐らく、そういった類いのことだろう。しかし本当のところ、何が「話し合い」のきっかけになったのかはわからない。 数か月前の「話し合い」ではそれで手痛いミスを犯した。学習態度についての「話し合い」だと思っていたのだが、8時間正座し続けた後、母とママ友と人間関係がこじれたことが「話し合い」の理由だと判明したのだ。今日の「話し合い」は何が本当の議題なんだろうか。いや、そもそも議題なんてあるんだろうか。 「塾のことよ」 今回は議題が明確になった。中学受験