世界で最も小さい直径7ナノメートル(ナノは10億分の1)のX線ビームを作ることに、大阪大大学院工学研究科の山内和人教授らの研究チームが成功した。高精度のX線顕微鏡の実現に必要な技術で、細胞の「レントゲン写真」の撮影が可能になり、新薬や新しい治療法の開発につながると期待されている。成果は、22日付の英科学誌「ネイチャー・フィジックス」電子版で発表された。 タンパク質などの微細な内部構造を観察するX線顕微鏡の高精度化には、細いX線が不可欠で、これまでに直径50ナノメートル程度のビームが実用化されている。研究者の間では、細くできる限界は直径10〜20ナノメートルと考えられていた。 X線を細く集めるためには2枚の曲面鏡を使うが、研究チームは、曲面鏡の表面を極限までなめらかにした上で、形状を微調整できる平面鏡を2枚用意。曲面鏡を通った後のX線の乱れから計算して、曲面鏡のゆがみを検出し、平面鏡を微調整