『白いカラーの花言葉』 忘れかけていた男からメールが届いている。 「愛しています、今でも」 ねっとりとしたこの粘着性の文章が私の瞼の裏にへばりついて離れない。稚拙で今どきの義務教育の児童でさえ書かない羞恥のない文章。男の年齢を生憎もう忘れている。躊躇いもなく打ち馴れ馴れしく送信したのだろう。仕事で煩わしく過ごした私は眠くなっている。男にとっては意味のあるメールなのだろう。価値も見識もない、このメール。男はどこかの見知らぬ大学を出ていたはずだが、私は覚えていない。あの夏、すっかり私は酔い潰れていたし、海辺にホテルはなかったから、友人のクルマの中で夜明けを待つしかなかったのだ。ひどい土砂降りの道端にいた仔猫を保護してその夜《湘南》と名付けた。《湘南》は器用に私の乳房を舐めたから「お前、中々エッチなんだね」と私たちは笑った。キャミソールはくたびれて、剥がれたファンデーションもそのままに、グラスを