1月下旬。吉田麻也はサウサンプトンの練習場に向かって車を走らせていた。 クラブハウスに到着すると、ロッカールームのモニターではテニスの全豪オープンの中継が流れている。欧州から地球の反対側に位置するオーストラリア。つい2、3日前まで自分がいた国が、画面に映る。 アジアカップ準々決勝・UAE戦。あんなところで躓くはずではなかった。まだ、彼の地で戦い続けているはずだった。そんな考えに、思わず駆られてしまった。 「不思議な感覚に陥りました。つい数日前まで、僕は全豪の試合を同じ国でテレビ観戦していた。でもいまは、こんなに時差のある場所で観ている。まだあそこに僕たちはいたはずだったとか思ったりもして。 イギリスはオーストラリアからものすごく遠い。だから余計に、もうここにいることが信じられなかったというか。人生は、本当に些細なことで変わってしまうんだなと感じています」 悔やんでも悔やみきれない、UAE戦