日本で韓国のヤクザ映画を見ると、「あんな風に翻訳していたら面白みがなくなるではないか」と思う。たった一言でも観客に緊張感を与えられるような、さまざまな罵倒のセリフをすべて「この野郎」や「バカヤロー」と翻訳しているためだ。耳を塞いで日本語の字幕だけ見ると、ソウルの小学校低学年の子どもたちのケンカよりもレベルが低いように思える。 だが、これは翻訳の問題ではないようだ。裏社会の乱暴な言葉が中心となっているはずの日本のヤクザ映画を見ても、罵り合いで交わされる言葉は「バカ」や「野郎」といったものより少し強い程度だ。時折聞こえてくる悪口も「間抜け」「うすのろ」「ろくでなし」「ブタ野郎」程度で、生命を脅かしたり身体的特徴をからかうような言葉は寡聞にして耳にすることはない。 日本でも「悪態」や「悪口」という単語がある。単語がある限り、それに相当する表現もあることは明らかなのだが、日本人に尋ねてみても、