米軍基地を沖縄に集中させ続けることは軍事戦略上も非合理的だ。安全保障・外交の専門家がそう認めたことの意味は小さくない。 ジョセフ・ナイ元米国防次官補が米ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」に論文を寄稿し、「中国のミサイル技術が発達し、沖縄の米軍基地は脆弱(ぜいじゃく)になった」と指摘し「日米両国は同盟の構造を再考しなくてはならない」と提言した。 ナイ氏の指摘は、合理性を抜きにして現行計画に固執する日米両政府の頑迷固陋(ころう)を浮き彫りにした。沖縄と日米、三者の関係の将来を見通せば分かるはずである。両政府は沖縄だけに基地を押し込めておく不条理を考え直すべきだ。 ナイ氏が、中国のミサイルを論拠に据えた点が興味深い。沖縄に四軍の基地を集中させておけば有事の際、中国のミサイル数発で日本にある米軍の根拠地が壊滅し、米兵多数が死傷する。射程距離内の一地域に軍を集中するのを避け、リスクを分散しておき