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note.com/cccp1917
【インサイト】西側製兵器によるロシア領攻撃とロシアの核ドクトリン改訂初のロシア領攻撃に投入されたATACMS ウクライナにおいてミサイル攻撃の応酬が激化しています。 前号で滑り込み言及したように、バイデン政権は先週、米国製長距離兵器(つまりATACMS)によるロシア領への攻撃をついに認めました。これに合わせて英仏のストームシャドウ/スカルプ空中発射巡航ミサイルのロシア領への使用も認められ、これによってウクライナが供与された西側製兵器には基本的に使用制限は無くなったということになります。 「基本的に」というのは、米側が認めたのはクルスク戦線に限っての使用だとされているからです。CNNによれば、米国政府内ではこの件に関してかなりの議論があり、特にATACMSをロシア領内に使用させた場合に「エスカレーション」の可能性があるとの懸念があったとされます。後述するロシア側の反応を考えるに、この懸念は的
【今週のニュース】ついに認められたATACMSによるロシア領攻撃ヤーセン級SSGNが宗谷海峡を初めて通過 防衛省統合幕僚監部によると、11月11日、ロシア太平洋艦隊の艦艇4隻が宗谷海峡を通過した。「ウダロイ級フリゲート(艦番号「543」)、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦(艦番号「331」)、バクラザン級救難えい船及びヤーセン級原子力潜水艦の計4隻」とされている。このうち水上艦3隻は10月のオケアン2024演習後、カムチャッカ半島に留まっていたもので、ウラジオストクに帰港する途上であったと考えられる。 自衛隊のP-3C哨戒機が捉えたヤーセン級SSGN 他方、ヤーセン級(885M型)は元々カムチャッカを母港としている。従来、カムチャッカに配備されていた885M型は2022年配備のノヴォシビルスク1隻のみであったが、今年9月には2隻目のクラスノヤルスクが配備されて2隻体制となっていた。
ウクライナ軍と北朝鮮軍の戦闘始まる 11月7日、ウクライナのゼレンシキー大統領は、すでにウクライナ軍が北朝鮮軍と交戦しており、後者から死者が出ていると述べた。ウクライナ側が北朝鮮軍人の戦死について公式に認めたのはこれが初めてである。 ゼレンシキー大統領によると、北朝鮮軍は8月にウクライナ軍が侵攻したクルスク地域に1万1000人の兵員を派遣している。 【インサイト】トランプの再登板とロシア・ウクライナ戦争の行方 「どっちの」トランプが顔を出すのかプーチンの「停戦」条件 米国大統領選の結果が出ました。周知の通り民主党がボロ負けでトランプ政権の再登場ということになるようです。加えて議会では上下両院とも共和党が取ることになりそうですから、これはウクライナでの戦争にも大きな影響が出るでしょう。 まず問題になるのがやはりトランプの出方です。しかし、これがなかなか読めません。トランプ自身はウクライナ戦争
【今週のニュース】北朝鮮軍がついにウクライナの戦場へ?オーストラリアがウクライナにM1を供与 オーストラリア陸軍から間も無く退役予定のM1A1戦車49両がウクライナに供与されることになった。より新しいM1A2戦車の導入に伴う措置。ただし、ウクライナへの直接供与ではなく、アルバニア政府を介しての供与となるようだ。 ウクライナ軍に配備されたM1戦車は米国が供与した31両のみであり、うち少なくとも16両は既に失われている(Oryx調べ)。残る15両もおそらくはそんなに稼働率が高くないだろう、と考えると、オーストラリアからの49両は(たとえ部品取りにしかならなくても)それなりの意義はあろう。同時に、これだけの数では「それなり」以上の意味がないこともまた明らかではある。 北朝鮮軍がついにウクライナの戦場へ? 以前は「可能性」の問題として扱われていた北朝鮮軍のウクライナ派遣が俄かに真実味を帯びて語られ
【今週のニュース】相変わらずじわりと進む中露軍事協力ロシア軍が中国製軍用車両を使い始めた? ロシア軍に中国製のZFB-05軽装甲車が配備されているという話がテレグラム等で出回っている。大手紙『モスクワ・タイムズ』ものこの話を取り上げており、全線で撮影された写真に映っているのは確かにZFB-05だという専門家の談話を紹介した。また、この専門家は、ZFB-05が中国から直接供与されたものではないとしても、アフリカあたりからブローカーを介して買ってこられるだろうという見方も示している。
【今週のニュース】ウクライナ軍がロシア軍の4飛行場を同時に攻撃 ウクライナ参謀本部は8月14日、ロシアの4飛行場に対して同時に攻撃を仕掛けたことを明らかにした。攻撃対象はハリノ、サヴァスレイカ、ボリソグレフスク、バルチモールとされている。いずれもロシア空軍がウクライナ作戦で使用している戦闘機・戦闘爆撃機基地であり、特に燃料施設や弾薬庫を狙ったという。 なお、攻撃に関与したのは空軍、特殊作戦軍(SSO)、ドローン軍(独立兵科)、国防省情報総局(GUR)などであったとされているので、ウクライナ軍総力を挙げての複合的な作戦であったと見られる。 【インサイト】ウクライナによるクルスク侵攻の狙いは?ウクライナ軍がロシア領クルスクで侵攻 2週間ぶりのメルマガですが、この間、ロシアのウクライナ侵略をめぐっては非常に大きな展開がありました。いうまでもなく、ウクライナ軍によるロシア領クルスクへの侵攻です。当
【インサイト】「プーチンの平和」を拒絶するために 非・超大国なりのリアリズムウクライナのNATO加盟をめぐる議論 ワシントンで開催されたNATO首脳会合の模様 7月9日から11日にかけて、米国でNATO首脳会合が開かれていました。 これに先立ってはNATO事務総長の交代が決まったり(現在のストルテンベルクからオランダ元首相のルッテへ)、3年連続で日韓の首脳が参加したりといったことはあったものの、ウクライナ支援に関しては今ひとつピリッとするところが少なかったように思います。 まず挙げられるのはウクライナのNATO加盟問題でしょう。現在進行形でロシアと戦争をやっている国をNATOに入れるわけにはいかないことは当然ですが、首脳会合前には意外とこの話が盛り上がっていました。というのも、今回の首脳会合ではウクライナの加盟に向けた「ブリッジ」、すなわち加盟への具体的な道筋を示せるかどうかが一つの焦点と
人民解放軍の東京駐在武官が蒲田の商店街を歩いていると、見慣れぬ店に行き当たった。まるで時代劇で見るような古い商家で、紺染の暖簾には「無人自衛隊」と染め抜かれている。 店の中は暗い。土間の向こうには小上がりがあり、年季の入った箪笥や何かの棚が並んでいるらしいことが、一つだけ灯った行燈によってかろうじてわかった。 東京での土産話になるかもしれない。 興味をそそられた武官は、暖簾を押し上げて中の様子を伺うと、急にギクリとした。意外なほど近くに番頭らしい者が立っていたからである。表は夏の盛りだが、店の中は墨でも流したように暗く、激しい陽射しは全く届かなかった。 「ここは何の店だ」 動揺を悟られぬように武官が問うた。店の中は暗いだけでなく、恐ろしく冷え切っていた。番頭は白い顔を微笑みの形に歪めて「手前どもは無人自衛隊幕僚監部でございますよ」と答えた。 「しかし、自衛隊には陸海空しかないじゃないか。そ
【今週のニュース】ロシア軍の志願兵は本当は何万人なのか問題 プーチンを交渉のテーブルにつかせるには ほかロシア軍の滑空爆弾がロシア領内に落ちている件『ワシントン・ポスト』によると、ロシア軍が使用している滑空誘導爆弾がこれまでに少なくとも38回、ロシア領内に落下する事故が起きているという。 本メルマガでも以前に紹介したように、ロシア軍は2022年の秋ごろからFAB-250無誘導爆弾にUMPKと呼ばれるキットを装着して使用し始めた。UMPKはロシア版GPSであるGLONASS衛星航法システムの受信装置とこれに応じて作動する制御翼、そして射程を伸ばすための滑空翼から成る。2023年に入るとより大型のFAB-500爆弾にも取り付けられ、アウディーウカ攻防戦では大いに威力を発揮した。 Su-34戦闘爆撃機に搭載されたUMPK化FAB-500 要するに米軍が使用しているJDAMのロシア版というところで
【インサイト】続・博士たちの異常な愛情 核抑止をめぐる米露のつばぜり合い この数週間、核兵器をめぐる話題が米露双方からしきりに聞かれるようになりました。ウクライナでの核エスカレーション、将来の米露軍備管理、そして中国の核戦力増強を踏まえた米国による核軍拡の可能性などについて考えてみたいと思います。 米国が開発中の新型ICBMセンチネル U.S. Air Force (https://www.airforce-technology.com/projects/lgm-35a-sentinel-intercontinental-ballistic-missile-usa/?cf-view)「ビビってるんじゃねえよ」 サンクトペテルブルグ経済フォーラムでのプーチン発言 まず取り上げたいのはロシアの動きです。 6月7日、サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(PMEF)の最終セッションに登壇しました
米をよそってください。 どんぶりか、ちょっと深さのあるお皿です。量は好きにして下さい。腹減ってる人は大盛りで。小腹がすいた程度の人はごく軽めで。 米も、こだわりにこだわったササニシキを土鍋で炊いたこだわりの銀シャリとかでなくていいです。サトウのご飯でもOK。ちなみに僕が使用したのは炊飯器の中に残っていた一昨日の米です。 その上に、牛すじ煮込みを投下します。これは横浜市中区のセブンイレブンで購入して500ワットで2分間温めたものですが、ローソンとかにも似たようなのがあるでしょう。すじ嫌いな人はすき焼きとかでもいいですね。モツ好きはモツ煮込みでもいいと思う。みんなローソンにあります。 その上に、スライスした白ネギ(好みにより1-2cm分くらいを極力薄く)をはらりと散らします。これもこだわらなくて大丈夫です。千葉のネギが望ましいことはもちろんですが埼玉とかでもいいでしょう。 最後に七味を振りかけ
【今週のニュース】ロシア軍で大粛清が進行中 ほかロシア軍で大粛清が進行中 ロシア国防省・軍高官の逮捕や交代が相次いでいる。この戦争中、プーチンが軍の司令官クラスを交代させるという事例はかなり頻繁に起きており、最近では3月に海軍総司令官のニコライ・エフメノフ大将が罷免されていた。しかし、プーチンの5期目が始まる前後に起きているのは単なる交代ではなく汚職を理由とした逮捕である。 その手始めとなったのはティムール・イワノフ国防次官(厚生・インフラ担当)の逮捕で、これがかなり異例の事態であることは本メルマガ第264号で紹介した。 さらにプーチンが5期目の就任式に臨んだ後、事態はさらに加速している。主なところをまとめてみよう。 5月14日 ユーリー・クズネツォフ中将(国防省人事総局長) 参謀本部第8局長時代の汚職を理由として逮捕
【インサイト】プーチン政権5期目の行方と国防大臣の交代悲願としての5期目大統領就任式会場に入場するクレムリン連隊 5月7日、プーチン大統領の任期が5期目に入りました。 プーチンが大統領になったのは2000年のことですから、もう24年もロシアの最高権力者をやっていることになります。首相に退いていた2008-12年を除いても20年。もういい加減満足したらどうかと思うのですが、今回始まった5期目の任期は2030年まで続くことになっていますから、少なくもそれまでは権力を手放すつもりはないのでしょう。 さらに2020年に改正された憲法の規定では、プーチンは2030年の選挙にも出られることになっています。こうなると2036年までプーチン、という未来も見えてきそうです。21世紀の実に3分の1がプーチン時代。プーチン政権下で生まれた若者が、大学を出て就職して家族を持っても、大統領はまだプーチン、ということ
【インサイト】ウクライナ戦争の(3年目ではなく)4年目を考える あるいは「我々はどういう世界に住みたいのか」守勢に回るウクライナ軍 いよいよ2024年が始まりましたが、相変わらず状況は非常に厳しいものがあります。ウクライナ軍は全戦線で守勢に回ることを余儀なくされ、その間にロシアはじわじわと圧迫を強めているからです。 特にルハンシクとハルキウ両州のあたりではロシア軍がこれまで以上に激しい攻勢に出ようとしているのではないかとの観測が出ており、この場合、クピャンシクが焦点となるでしょう。他方、以前から懸念されていたベルゴロド方面およびベラルーシ方面からウクライナ北部に対する攻撃の再開については、今のところ顕著な兆候は見られないとISW(戦争研究所)は報告しています。 こうした中でウクライナ軍は、北東部一帯に陣地線を築き、予想されるロシア軍の大規模攻勢に備えていると見られます。昨年、ゼレンシキー大
【今週のニュース】守勢に回るウクライナ ほか戦時下ウクライナ人の意識 ウクライナ国民に対する興味深い世論調査の結果が発表されたので紹介したい。 まずは身近なところから死者が出たかという質問で、2022年には7割程度であったものが2023年にはこれが8割を超えた。特に家族や友人といった近しい人の死については、2022年に2割以下であったものが、今回は4割以上に達しており、戦争が人々の生活に次第に忍び寄っていることが窺われる。その一方、ウクライナの勝利を信じるという回答の比率はほとんど変化しておらず、民主主義を重視するとの声も同様であった。 外国人がロシア軍に入隊 リャザン州の軍事委員会は、ロシア軍に多数の外国人が入隊しつつあることを明らかにした。ベラルーシ、タジキスタン、ウズベキスタンなどの旧ソ連諸国だけでなく、モロッコ、エジプト、キューバなどの「エキゾチックな国」からも入隊者があったという
【今週のニュース】ウクライナの国防費がついにGDPの15%に ほかウクライナの穀物輸出に回復の兆し 今年7月にいわゆる「穀物合意」からロシアが離脱したことで、ウクライナの穀物輸出は滞っていた。これに対してウクライナはロシアとの合意によらない形で独自の穀物輸出ルートを模索し、まずドナウ川経由での輸出が行われるようになった。ドナウ川から小型船で第三国へ穀物を運び込み、そこから改めて大型貨物線に積み替えて国際市場に出すという方式であるが、これはいかにも効率が悪い。 それでもドナウ川経由ルートでは月250万トンもの穀物輸出が行われるに至ったが、積み出し港であるイズマイルがロシア軍の攻撃を受けるなど、これも安全なルートではなくなってしまった。 そこでウクライナは8月以降、新たな輸出ルートを開拓する。黒海のルーマニアやブルガリア沿岸に設定された安全地帯、「人道航路」を穀物輸出用に使用するという案で、要
ワグネルがヒズボラに防空システムを提供?『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」がパンツィリ-S1防空システムをレバノンのヒズボラに供与するという話が進んでいるようだ。複数の米政府高官がインテリジェンス情報に基づいて述べた話であるという。 そもそもワグネルがまとまった数のパンツィリ-S1を持っていたのか、持っていたとしてちゃんと運用できていたのかなど疑問は少なくないのだが、のちのCNN報道によると事態はさらに複雑なようである。 この話を信じるならば、問題のパンツィリ-S1はロシアからシリア軍に供与されていたものであるが、それを今度はワグネルの助けを借りてヒズボラに提供しようということらしい。シリア駐留ワグネル部隊とヒズボラには何らかの協力関係がある、とされていたので、今回の件はそのコネクションを利用したのか、あるいはワグネルに訓練提供を期待しているのか
妻氏が海外出張中なの1週間弱、娘氏と短期父子家庭生活していたんですが、「夕飯何食いたい?」の問いに対して「オムライス」という答えがあったんですよね。 なるほどオムライス。 さてもオムライス。 そういえば昔はよく作ってたオムライス。 いや安いんですよオムライスは。 米、卵、玉ねぎ、細切れ鶏肉というあたりでそれなりに美味しく腹も膨れる。まだ娘氏が小さくて僕には金がなかった頃、よく作っていた。 あと妻氏が当時、「肉」という感じの肉をあまり食べなかったので、家庭内最小公倍数として無難でもあった(その後、学生時代にやっていた登山を再開した妻氏はハンバーグを三枚くらいぺろっと食べるようになります)。 そういうわけで超久しぶりにオムライス作ってみたんです。 玉ねぎを細かく細く刻んで炒め、鶏肉を投入し、米も投入して味付けという段になってケチャップがない。 なんか昔これのカレーバージョンみたいなことがあって
ロシアの秋季徴兵 ウクライナ「併合」州でも実施 9月29日、ロシアのプーチン大統領は2023年度の秋季徴兵に関する大統領令に署名した。10月1日から12月31日までに合計13万人を徴兵するよう命じるものである。 この徴兵令を何かとセンセーショナルに扱う報道も見られるが、ロシアの徴兵制では徴兵を戦場に送ることを禁じており、教育隊と配属部隊で訓練を受けるだけということになっている。この点は徴兵の実施担当部署である参謀本部組織・動員総局も明確にしており、徴兵対象者が「ロシア連邦の新たな地方」、すなわち昨年強制的に併合したドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、ヘルソンの部隊に送られることはないとしている。つまり、徴兵と動員は全く違う制度なのでであって、明確に区別されねばならないということである。 したがって、今回徴兵される13万人も(現時点では)あくまでも将来の動員予備となるべく軍事訓練を受けるため
【今週のニュース】強化されるロシアの装甲戦闘車両生産 ほかSu-34戦闘爆撃機がキンジャール空中発射弾道ミサイルを発射 TASS通信によると、ロシア航空宇宙軍のSu-34戦闘爆撃機がキンジャール空中発射弾道ミサイルの運用能力を獲得した模様である。9月4日づけの記事で報じられたもので「Su-34(単数型)がキンジャール(単数形)を特別軍事作戦の過程で使用した」とされているので、実戦使用されたのだろう。 従来、キンジャールの母機としてはMiG-31迎撃戦闘機を改造したMiG-31Kのみが用いられていた。 米国がついにATACMSを供与へ? 9月10日、米ABCニュースは、米国政府がウクライナにATACMSミサイルを供与する方針を固めたようだと報じた。匿名の米政府高官によると、ATACMSの供与は「テーブルの上にあ」り、次の軍事援助パッケージに含まれるだろうとのことだが、最終決断はまだだと述べて
【インサイト】弾薬生産をめぐる東西軍需産業の死闘反転攻勢は相変わらず難航中 前号から2週間空きましたが、その間もウクライナでの戦況はあまり大きく変わっていないようです。全体として言えばウクライナ軍が主導権をとっているものの、それを大きな戦果に繋げられていない、ということです。特に南部ではロシア軍が築き上げた地雷原と塹壕が要塞線となりウクライナ軍の反撃を阻んでいます。 この結果、ウクライナ軍は装甲戦力を中心とした突破は諦め、少数の歩兵部隊を装甲戦闘車両を組み合わせた小チームで陣地を取っては守る、という地道な前進戦術に切り替えたとされますが、ずっとこのペースを続けるならば秋の泥濘期までに取り返せる面積はごくわずかとなるでしょう。 南部戦線の状況を一変させうるゲームチェンジャー的展開としてはカホウカ・ダムの結界で干上がった貯水池を横断してロシア軍の背後を突く、という作戦が考えられそうですが、どう
【今週のニュース】ベラルーシからロシアへの弾薬供給量は ほかウクライナにクラスター弾頭型HIMARSを供与? 6月22日、ロイター通信は、米国がHIMARS用のクラスター弾頭搭載型ロケット弾(DPICM)の供与を検討していると報じた。 DPICMは2008年のクラスター弾禁止条約による禁止対象に入っている。米国はロシアと同様に同条約の批准を拒否しているが、米軍の現役装備から外すという措置をとった。今回の件はそれをウクライナに供与しようということのようだが(なお、ウクライナもクラスター弾禁止条約は未批准)、議会による反対や同盟国との関係を慮ってまだ決定されていないという。 ベラルーシからロシアへの弾薬供給量は13万トン ルカシェンコ政権に批判的なベラルーシ鉄道従業員たちの告発によると、開戦以来、ベラルーシは13万トン以上の弾薬をロシアに供給した。おそらくはベラルーシ鉄道の内部資料によると思わ
【今週のニュース】ベラルーシへの戦術核兵器配備続報ベラルーシに戦術核兵器配備を「開始」 ルカシェンコ大統領 5月25日、モスクワでのユーラシア経済フォーラムに参加したベラルーシのルカシェンコ大統領は、同国への核兵器の移送に関する文書に署名したとプーチン大統領から口頭で知らされたと述べた。その上で、核兵器の移送が「始まった。既に始まった」と2回繰り返して述べたが、実際に自国に核兵器が既に存在しているかどうかは「帰国してからたしかめる」とした。 一国の大統領が自国への核兵器配備について口頭で知らされるだけであり、実際にどうなっているかは帰ってたしかめるしかないというのはロシアとベラルーシの力関係を示すエピソードといえよう。 なお、同日、ロシアのショイグ国防相とベラルーシのフレニン国防相は、ベラルーシ領内における核兵器の保管手順に関する合意書を締結した。この文書について、ショイグは、ベラルーシに
【インサイト】流出したNATO機密文書とウクライナ軍の反攻作戦 ウクライナ戦争に関するNATOの機密文書が漏洩したのではないかという噂が広く出回っており、機密と書かれた文書の画像もネット上では閲覧することができます。日付は3月1日とされているので5週間ほど前の情報ではありますが、今回の戦争の実相を読み解く上で興味深い情報も数多く含まれているので、その中身を詳しくみていきたいと思います。 ネット上に出回っている流出文書とされるもの1ネット上に出回っている流出文書とされるもの2ロシア軍とウクライナ軍の損害ロシア側 戦死者(KIA):3万5500-4万5500人 航空機:戦闘機/爆撃機72機、ヘリコプター82機 戦闘車両:6004両 ウクライナ側 戦死者(KIA):1万6000-1万7500人 航空機:戦闘機/爆撃機60機、ヘリコプター32機 長距離地対空ミサイル(SAM):11基 戦術SAM:
【インサイト】ロシア軍大攻勢の兆しとウクライナへの軍事援助の行方ウクライナ東部でロシア軍の攻勢が本格化 長らく予想されていたロシア軍の構成が本格化する兆候が見られ始めました。特に顕著なのは激戦が続いてきたバフムトの北方です。1月13日にソレダルが陥落させたロシア軍はさらに北西に進んでシルを占領し、2月初頭にはシル北部のサッコ・イ・ヴァンツェッティ村を確保しました。これによってロシア軍は幹線道路T0513を遮断するとともに、その北部及び東部へ進撃する足掛かりを作ったと見られます。 バフムト市の北部と南部でもロシア軍は占領地域を広げており、特に市の西側に伸びるT0514線を遮断させると補給も圧迫されそうです。英国防省はその周辺の道路についてもロシア軍の火制範囲に入っている可能性が高く、バフムトが徐々に孤立しつつあるとの見方を示しています。 Latest Defence Intelligence
もう10年以上前だが、僕はロシア非常事態省の中央司令センターで大声で罵られたことがある。 一緒に出張に行った日本人のおっさんが傲慢な上にちょっと病気があって、どうも時々変になるのだが、それがいきなり非常事態省の中央司令センターで爆発したのだ。 巨大なモニターとコンソールが並ぶ、ロシアの防災機関の心臓部みたいな場所だ。 そこに視察に来た日本人のおっさんがまだ20代の日本人をいきなり大声で怒鳴り始めたから、非常事態省の職員たちも「え?何?」みたいな感じに当然なった。 僕自身もあまりのことにどうしていいか分からなかったし(何しろ20代だったから)、なんだこのやろうという気持ちと、父親くらいの歳の男にいきなり腹の底からの声で怒鳴られて怖いのと、しかし屈辱感みたいなものもあって、固まってしまった。 そのときになあ、司令センターの司令官がいつの間にか俺の横に来て、「君に面白いもの見せてやろう」といきな
【今週のニュース】 極東から派遣された義勇部隊が帰還『TASS』2022年11月27日 ウクライナ作戦を支援するためにウラジオストクなど沿海州で編成された義勇部隊「ティーグル(虎)大隊」が特別軍事作戦の実施地域から帰還した。TASSが伝えたコジャミコ沿海州知事の発言を見るに、彼らは太平洋艦隊第155海軍歩兵旅団に編入されて戦ったようだ。 その第155海軍歩兵旅団はドネツクでの戦闘で凄まじい損害を出し、そのことをコジャミコに直訴したためにさらに苛烈な任務を与えられて崩壊状態に陥ったと言われている。 してみると、ティーグル大隊の帰還は、「凱旋」と呼べるようなものではなかったのだろう。 トルコがウクライナに長距離精密誘導ロケットを供与していた?『MIDDLE EAST EYE』2022年11月23日 『MIDDLE EAST EYE』が二人の情報筋から得た話として報じたところによると、トルコは今
ぐう・たらお(@GreatPoppo) 1 はじめに 令和4年11月6日に、エチオピアの主要な通信社である「エチオピアン・ニュース・エージェンシー」が「ティグレ人民解放戦線との停戦合意を受け、エチオピア国防軍の参謀総長であるビルハヌ・ジュラ陸軍元帥が司令部に帰還した」旨の報道を複数の画像とともに配信しました。 配信された画像は全部で6枚であり、このうち1枚はビルハヌ参謀総長が無線機を用いてどこかと通話しているものでしたが、私はあらゆる特徴から当該無線機がマレーシアに拠点を置く北朝鮮の軍用無線機輸出のフロント企業Glocom(グローコム)が販売している「GR-310」UHF/VHF/衛星無線機であるという判断をしました。 無線機で通話するエチオピア軍のビルハヌ参謀総長(Ethiopian News Agency) 「GR-310」UHF/VHF/衛星無線機(Glocom)配信さ
小泉悠(@OKB1917) 背景 ウクライナ侵略が始まってから9ヶ月で、ロシア軍は戦車1465両、歩兵戦闘車1682両、装甲兵員輸送車259両、その他の装甲戦闘車両695両にも及ぶ膨大な装備品を喪失したと見られている(1)。開戦前の時点でロシア軍が保有していた装甲戦闘車両は戦車3417両、歩兵戦闘車4293両、装甲兵員輸送車7452両であり(2)、特に戦車の損害が極めて大きい。この結果、ロシア軍はウクライナにおける軍事作戦を継続するために予備保管されている旧式兵器を現役復帰させざるを得なくなっている。2022年10月に報じられたところによると、ロシアは旧式化したT-62M戦車など800両を急遽近代化改修して実戦投入する計画である(3)。 では、ロシアの予備兵器はこれまでにどの程度が現役復帰しているのだろうか。また、今後も膨大な損害に耐えて戦争を継続する能力はどの程度残されているのだろうか。
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