自尊心傷つき無気力に 23歳のA氏はある会社の新入社員。入社して半年ほどは、特に支障もなく仕事に励んでいたが、その年の9月頃から、訳もなく断続的に欠勤するようになり、他科からの紹介で精神科を受診した。 A氏は、好青年といった印象で、話も要領を得ていた。欠勤の理由を尋ねると「吐き気がしたもで」「頭が痛かったから」と体の不調を訴える。ところが、身体的な検査をそても問題はない。それなのに会社を休んでいることについては、「体の具合が悪い」と訴えることに終始して、それ以上に話が深まらない。 最近、A氏のように入社して早い時期に欠勤しがちになる青年が増えている。彼らには、スチューデント・アパシー と呼ばれている学生の無力症と同様の心性がみられる。 完全主義的で、几帳面であると同時に、どことなく弱々しいところがある。 現実を避けようとする傾向が強く、しばしば自分だけの世界にこもってしまう。 また、欠勤が