スペインバロック絵画の巨匠ディエゴ・ベラスケス最大にして不朽の名作『ラス・メニーナス(女官たち)』。当時のスペイン国王フェリペ4世の娘である皇女マルガリータを中心に、数人の女官たちを描いた集団肖像画である本作は19世紀頃に、描かれる内容から≪ラス・メニーナス(女官たちの意)≫と呼称されるようになったが、制作された当初は≪家族の絵≫もしくは≪王家一族≫と呼ばれていた。画面中央には豪奢な衣服に身を包んだ皇女マルガリータとその女官であるドーニャ・マリア・アウグスティーニャ・デ・サルミエントが描かれている。その周囲には左からドーニャ・イザベラ・ベラスコ、矮人マリア・バルボラ、一匹の犬を踏みつける矮人ニコラシート・ペルトゥサートが配され、後ろには王妃侍女であるドーニャ・マルセーラ・ウリョーアと、顔に影がかかるドン・ディエゴ・ルイス・デアスコーナが控えている。そして画面最奥の鏡には国王フェリペ4世と女