しかも、最悪なのがタイトルにもなっていた「10分300万」だ。実は、これは後藤さんが喋っていたことでもなんでもない。わざわざ「映像が番組で流されれば十分間で二百万から三百万ほどのギャラをもらえますから」と言う「面識のあるフリージャーナリスト」のコメントを持ち出して、明らかに後藤さんが金目的でイスラム国に接近したとのトーンで文春が書いただけなのだ。だが、彼らはフリーの戦場ジャーナリストがどんな苛酷な経済状況におかれているのかを知らないのか。イスラム国への取材で「二百万から三百万ほどのギャラ」をもらおうとするのが守銭奴だというなら、文春の社員は麹町でふんぞりかえって、いくら給料をもらって、いくら経費を使っているのか。 そもそも、準備もアポもすべて自分で行ったうえで、社員が行かない「危険な場所」で取材をするフリーのジャーナリストに、同じジャーナリズムの世界で生きている人間が平気でこういった誹謗中