AI活用によって未来を予測し提言する――そんな取り組みが日本で行われている。京都大学の広井良典教授らと日立が共同研究し、日本の未来シナリオとその分岐点を解析した。一体どのようなものか。広井教授が解説する。 AIは未来予測や政策に活用できるか 「AI(人工知能)」という言葉が、あらゆる場面に登場している。 アメリカの未来学者カーツワイルが唱えたいわゆる「シンギュラリティ(技術的特異点)」論ないし“2045年問題”のように、最高度に発達したAIがやがて人間を凌駕し、さらにはそれが人体改造された人間と結びついて“永遠の意識”が生まれるといった議論も存在する。 また、AIによって人間の仕事ないし雇用の大半が取って代わられ大量の失業が生まれるといった話題は繰り返し論じられている。 しかし昨今の議論を聞いていると、いささかAIの能力が過大評価ないし“神聖化”されているように思われることが多い。 私は1