先日、日経ビジネスの取材で「団地」を取材する機会があった。 皆さんは「団地」という言葉に、どんな印象をお持ちだろうか。その昔、社宅に住んでいた私にとっては、団地は幼少児の原風景とも相まって、どこか懐かしい響きがあるのだが、その実態を取材して、団地が直面している厳しい現実を目の当たりにした。 住民の高齢化、物件の老朽化、空室の増加――。端的に言えば、団地は3つの構造問題を抱えている。日本の高度成長時代、都市部の住宅不足に対応するために大量に供給された集合住宅は今、その役割を終え、逆に負の側面が目立つようになっている。全国のいわゆる公的な団地は、300万戸近くある。日本の住宅政策にも、大きな影を落としている。 今回の取材では、そんな状況を打開する取り組みを追った。全国に約77万戸の団地を所有する都市再生機構(UR都市機構)が、京都市伏見区で団地再生プロジェクトを始めたのである。古い団地の部屋を