東京の最高気温は39.5度。2004年の夏は暑かった。ふと外を見たら、平日なのに釣りをしている人がいた。すでに定年を迎えて悠々自適だったのかもしれない。しかし、そのときの私には、ただただ、うらやましかった。 2004年の夏は暑かった。特に7月が酷かった。7月20日の東京の最高気温は39.5度。8月は少しマシになったが、この年の暑さは、私の重い気持ちをさらに重くするには十分だった。 当時、私は行徳から大門まで電車で通っていた。門前仲町で東西線と大江戸線を乗り換える経路だ。東西線は、西船橋から西葛西まで高架を走っている。その間に新旧の江戸川と中川の3本の川を越える。 重い気持ちを引きずりながら、ふと窓の外を見たら、平日なのに釣りをしている人がいた。すでに定年を迎えて悠々自適だったのかもしれない。しかし、そのときの私には、そんな当たり前のことを考慮する余裕もなかった。ただただ、うらやましかった。