はじめに いまから約7年前、2006年10月、韓国国会保健福祉委員会所属の金椿鎮議員が公開した「食用犬肉政策関連のアンケート」によると、韓国国民の55.3%が「犬肉を食べたことがある」と回答した。同調査を通じて韓国国民の平均的な犬肉消費量を推定したところ、1回300グラムずつ年平均4.6回食していることが判明した。1年間の犬肉消費量は165万〜205万頭にのぼるとみられる。 韓国における犬食の是非について様々な主義主張がある中、論理的で建設的な意見は殆どみられず、感情的な意見ばかりが目立っている。いちど原点に立ち返り、ここで犬食(けんしょく、犬肉を食べる行為)の問題点を整理してみたいと思う。 1.犬食は「韓国の伝統的食文化」ではない あまり知られていない事実であるが、犬を食べる行為は韓国では比較的新しい風習である。韓国において犬食と言えるものは1980年代中旬の「補身湯(犬肉スープ)ブーム