この物語を一言で表すなら、以下の一文に尽きると思う。 わたしたちは、このたった一度の別れの為に出会い続けてきたのだ。 (葉月文著『Hello,Hello and Hello』Kindle版 位置No.2,846より) とは言っても、「別れの為に出会う」のは当たり前。人のつながりをちょっと詩的に表現しようすれば、この手の言い回しはいくらでも思い浮かびそうな気もする。誰しもが死に向かって生きている──語弊を恐れず言えば「死ぬ為に生まれてきた」人間は、いつも「別れの為に出会」っている。 ただし、「たった一度の別れの為に出会い続けてきた」と書くと、その意味合いは少し異なってくる。──そう、これは、強く強調された “たった一度” きりの別れのために、繰り返し “出会い続けてきた” 物語。 Hello,Hello and Hello (電撃文庫) 葉月 文 KADOKAWA / アスキー・メディアワー