橋下・維新がこれまでやってきたこと、その2つめは、民営化と医療・福祉・生活切り捨てです。
橋下氏は大阪府知事就任後、「財政再建プログラム」を策定し、生活関連予算約2300億円削減をを打ち出し、福祉・障害者団体への運営補助金や、高齢者用の住宅改造への助成制度、「街かどデイハウス」への補助金、特養ホーム建設補助金などを廃止・縮小しました。文化事業では、国際児童文学館を廃止、府立青少年会館を廃止、男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)への補助金を削減、大阪センチュリー交響楽団への補助金を削減し最終的に廃止しました。府職員に対しては、給与・ボーナス・手当・福利厚生などをカットし、全国で初めて退職金もカットしました。
大阪市でも、上下水道料金の福祉減免廃止、がん検診など検診推進事業の見直し・廃止、保育料軽減措置、民間保育所職員の給与改善費廃止、学童保育補助金の廃止、一部市立幼稚園・保育所の民営化などの福祉関連の切り捨てを行いました。「不正受給対策」を名目に生活保護受給者への攻撃を強め、保護費の一部をプリペイドカード化しようとしています。敬老パスの有料化、市バスの一部路線廃止、コミュニティバス廃止によって、生活の足を奪いました。大阪市音楽団、文楽など、文化事業への補助金も削減し、最終的に打ち切りました。解放運動の成果として勝ち取られてきた市内各地の人権文化センターや、市民交流センター、学習センターなどを廃止し、市民活動の場を縮小し続けています。
さらに、市立病院の廃止と府立病院への統合、市立大学と府立大学の統合を進め、地下鉄、上下水道、ゴミ収集などの民営化なども計画しています。
「都構想」とは、こうした新自由主義政策を一層推進する態勢固めです。(2)で触れたように、「都構想」そのものからはおカネは生まれません。(3)で書いた事業などに使うおカネを創るには、生活切り捨てと民営化しかないのです。
ところで、これだけの切り捨てを行って、橋下知事は府の財政を立て直したでしょうか? そんなことはありません。橋下知事は就任時、大阪府を「破産会社」と言いきり、それを立て直して黒字化し、「優良会社」にして、知事を退任したことになっています。これによって、「改革をできるのは維新しかいない。改革を実現するためには、抵抗する市議会を廃止するしかない」というイメージを作っています。
しかし、これもまた全くのウソです。単年度で見ると黒字になっていますが、これは見せかけだけです。「臨時財政対策債」を発行して調達した借金を「府の借金ではない」として計算から除いているのです。臨財債による借金は、将来の地方交付税で補てんされることがその理由です。でも、もしそうならば、地方交付税で臨財債償還分として措置された額を、減債基金に積む必要があります。しかし、それを行わず一般財源に流用していました。減債基金の積み立て不足は、橋下氏が知事を務めた2008~11年度の4年間で1632億円も増えました。単年度の黒字を演出するため、将来の借金返済に備えるべき基金を食いつぶしていたのです。
※「破産会社」はほんとうに「優良会社」になったのか。首長としての実績を問う---橋下「大阪府改革」を検証する(現代ビジネス)
いくら生活関連の予算を切り捨てても、一方で大型開発に投入すれば財政悪化は当たり前です。WTCビルへの府庁移転計画を強引に進め、議会で2度にわたって移転を否決されても、85億円を払って大阪市から購入し、東日本大震災で最終的に移転断念に追い込まれたことが象徴的です。
また、市民不在のイベントを連発し、失敗を繰り返しました。「道頓堀プール」計画は破綻しました。民営化をにらみ橋下市長が肝いりで民間から引っ張ってきた藤本交通局長は、不透明な随意契約、業者との癒着など数々の疑惑に包まれています。府と市で作った大阪観光局のイベント失敗では、局長が自費で赤字を穴埋めする事態となりました。橋下市長も松井知事も、これらについて一切責任を取ろうとしていません。
府の地方債残高は、橋下知事在任中に府政史上最大になり、10年度の借金は6兆円を超えました。実質公債費比率が18%を超え、地方債発行に総務大臣の許可が必要な「起債許可団体」に転落しました。このままの水準で借金が増え続ければ、「財政健全化団体」(府単独事業向け起債発行の制限を受ける)転落の危険も迫っているのです。
(つづく)
by ウナイ
橋下氏は大阪府知事就任後、「財政再建プログラム」を策定し、生活関連予算約2300億円削減をを打ち出し、福祉・障害者団体への運営補助金や、高齢者用の住宅改造への助成制度、「街かどデイハウス」への補助金、特養ホーム建設補助金などを廃止・縮小しました。文化事業では、国際児童文学館を廃止、府立青少年会館を廃止、男女共同参画・青少年センター(ドーンセンター)への補助金を削減、大阪センチュリー交響楽団への補助金を削減し最終的に廃止しました。府職員に対しては、給与・ボーナス・手当・福利厚生などをカットし、全国で初めて退職金もカットしました。
大阪市でも、上下水道料金の福祉減免廃止、がん検診など検診推進事業の見直し・廃止、保育料軽減措置、民間保育所職員の給与改善費廃止、学童保育補助金の廃止、一部市立幼稚園・保育所の民営化などの福祉関連の切り捨てを行いました。「不正受給対策」を名目に生活保護受給者への攻撃を強め、保護費の一部をプリペイドカード化しようとしています。敬老パスの有料化、市バスの一部路線廃止、コミュニティバス廃止によって、生活の足を奪いました。大阪市音楽団、文楽など、文化事業への補助金も削減し、最終的に打ち切りました。解放運動の成果として勝ち取られてきた市内各地の人権文化センターや、市民交流センター、学習センターなどを廃止し、市民活動の場を縮小し続けています。
さらに、市立病院の廃止と府立病院への統合、市立大学と府立大学の統合を進め、地下鉄、上下水道、ゴミ収集などの民営化なども計画しています。
「都構想」とは、こうした新自由主義政策を一層推進する態勢固めです。(2)で触れたように、「都構想」そのものからはおカネは生まれません。(3)で書いた事業などに使うおカネを創るには、生活切り捨てと民営化しかないのです。
ところで、これだけの切り捨てを行って、橋下知事は府の財政を立て直したでしょうか? そんなことはありません。橋下知事は就任時、大阪府を「破産会社」と言いきり、それを立て直して黒字化し、「優良会社」にして、知事を退任したことになっています。これによって、「改革をできるのは維新しかいない。改革を実現するためには、抵抗する市議会を廃止するしかない」というイメージを作っています。
しかし、これもまた全くのウソです。単年度で見ると黒字になっていますが、これは見せかけだけです。「臨時財政対策債」を発行して調達した借金を「府の借金ではない」として計算から除いているのです。臨財債による借金は、将来の地方交付税で補てんされることがその理由です。でも、もしそうならば、地方交付税で臨財債償還分として措置された額を、減債基金に積む必要があります。しかし、それを行わず一般財源に流用していました。減債基金の積み立て不足は、橋下氏が知事を務めた2008~11年度の4年間で1632億円も増えました。単年度の黒字を演出するため、将来の借金返済に備えるべき基金を食いつぶしていたのです。
※「破産会社」はほんとうに「優良会社」になったのか。首長としての実績を問う---橋下「大阪府改革」を検証する(現代ビジネス)
いくら生活関連の予算を切り捨てても、一方で大型開発に投入すれば財政悪化は当たり前です。WTCビルへの府庁移転計画を強引に進め、議会で2度にわたって移転を否決されても、85億円を払って大阪市から購入し、東日本大震災で最終的に移転断念に追い込まれたことが象徴的です。
また、市民不在のイベントを連発し、失敗を繰り返しました。「道頓堀プール」計画は破綻しました。民営化をにらみ橋下市長が肝いりで民間から引っ張ってきた藤本交通局長は、不透明な随意契約、業者との癒着など数々の疑惑に包まれています。府と市で作った大阪観光局のイベント失敗では、局長が自費で赤字を穴埋めする事態となりました。橋下市長も松井知事も、これらについて一切責任を取ろうとしていません。
府の地方債残高は、橋下知事在任中に府政史上最大になり、10年度の借金は6兆円を超えました。実質公債費比率が18%を超え、地方債発行に総務大臣の許可が必要な「起債許可団体」に転落しました。このままの水準で借金が増え続ければ、「財政健全化団体」(府単独事業向け起債発行の制限を受ける)転落の危険も迫っているのです。
(つづく)
by ウナイ