マオ猫日記
「リヨン気まま倶楽部」編集日記
 




 仏国民議院選挙(定数577議席)は18日、第2回(決選)投票が行われ、全ての選挙区での当選者が確定しました。

 当初、第1回投票の際に圧勝と報じられていたニコラ・サルコジ(Nicolas SARKOZY)政権の与党・国民運動連合(UMP)の議席数は314議席に留まり、過半数は確保したものの現有議席から41議席減らした他、逆に仏社会党(PS)は、現有135議席に50議席上乗せして185議席となり、躍進した格好となりました。しかも、フランソワ・フィヨン内閣の副首相格であるアラン・ジュペAlain JUPPE)国家大臣(元首相)が地元ボルドーで落選。これを受けてフィヨン内閣は(慣例により)一旦総辞職し、ジュペ氏に換えて閣内ナンバー3のジャン=ルイ・ボルロー(Jean-Louis BORLOO)経済・財務・雇用大臣が国家大臣に昇格。経済・財務・雇用大臣にはクリスティーヌ・ラガルドChristine LAGARDE)農漁業大臣が横滑りし、新農漁業大臣にはミシェル・バルニエMichel BARNIER)元外相(元欧州委員)が任命されました(フィヨン首相は、国民議院選挙に出馬する閣僚については、落選したときは閣僚を辞職させる方針。もっとも、非議員や地方議員の閣僚は対象外)。ちなみに、今回の選挙では、かつて日系企業トーヤル社の移転に反対してハンストを決行した元UDF(仏民主連合)のジャン・ラサールJean LASSALLE)議員(現在、「民主運動」所属)も、再選されています。

 与党辛勝の理由は、仏の小選挙区2回投票制社会保障目的消費税問題で、有効投票数の過半数かつ登録有権者数の少なくとも4分の1の得票を得た候補がいない場合に第2回投票を行う(第2回投票では相対多数により選出)この選挙制度ではいわば「後だしジャンケン」が可能となり、第1回投票で「与党圧勝」の報道が出るや、有権者が逆に慎重になって野党に投票する結果となりました。しかも、第2回投票までの間に、社会保障目的消費税TVA social)を巡ってボルロー経済・財務・雇用大臣が税率の5%引き上げを示唆。直ちにフィヨン首相が火消しに動きましたが時遅く、「UMP政権では増税になる」との野党側の主張に勢いを与え、これが議席減少に繋がったのでした。その意味では、今回の「敗戦」の少なからぬ責任はボルロー経済・財務・雇用大臣にもあるわけですが、そのボルロー大臣が国家大臣に昇格というのも、不思議な人事です。



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