旅限無(りょげむ)

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運転免許の書き換えで考えた

2005-06-27 06:56:56 | 日記・雑学
■免許の書き換えに行って来ました。旅限無は、無事故・無違反なので所轄の警察署で手続きするだけです。ゴールド免許とかいう区分になるのですが、別段の特典が有るわけではないのですなあ。どうしても何か欲しい!と思う人は、最寄の警察署や交番で申請用紙を貰って自動車安全運転センターに申請して「無事故・無違反証明書」を取りまして、この証明書に運転免許証を添えて、警察署内の「交通安全協会」に申請すると、目出度く「優良運転者証」を貰える上に、何と!都道府県の交通安全シンボルマーク入りのカーバッチを自動車に付けて走れます。無事故・無違反が5年なら「銅賞」、7年なら「銀賞」、10年なら輝く「金賞」のバッチです。さあ、皆で金賞バッチを目指して安全運転をしましょう!という掛け声に応じる日本人が何人いるのでしょう?

■5年間に警察の皆さんのお世話にならなかったというだけのゴールド免許には、実際には何の意味も有りません。日本中に無数に存在する「ペーパードライバー」の皆さんの中には、金賞候補が何万人もいるでしょう。こうした表彰制度を、「交通安全のために」という名目で予算化して維持継続するのに必要な資金が何処から出て、裏金にもならず流用もされずに適正に使われているかどうかを、誰が審査しているのやら。カードやバッチの企画とデザイン、その制作に当たった企業は警察組織とどんな関係が有るのか、それも分かりません。第一、この制度が予算に見合うだけの効果を上げているのか?と追求する政治家がいません。国会の議論でも警察関連の質問はとても少ないような気がするのは、「選挙違反」の摘発の匙(さじ)加減とは無関係であることを熱望します。

■正体不明のゴールド運転手を濫造するよりも、悪質な運転者に、グレイとかブラック、悪趣味な髑髏(どくろ)マークなどの証明書や表示マークを与えた方が、遥かに交通安全に寄与するのではないでしょうか?失礼ながら、故障が続出した某自動車メーカーのトラックに不安を感じた人たちは、自分の車の周辺に有名なシンボル・マークを見付けると減速したり加速したりして、距離を取ろうとしたのではないでしょうか?ですから、危険運転や大事故を起こした経験の有る人が乗っていることを知らせるマークがあれば、巻き込まれないように皆が注意をして避けるので、自損事故は減らないにしても大きな事故は随分と減るような気がしますなあ。違反者の中には結構リピーターがいるようですから、初心者マークや高齢者マークよりも「注意車マーク」を制定すべきではなかろうか?などと、優良者制度を写真入りで説明して下さる頁を見ながら考えてしまいます。

■5年前の書き換えの時に、受付カウンターの婦人警官が大変に丁寧で最低限度の愛想の良さを示したことに感心したことが有りました。実は、その直前に応対の悪さに激怒した人達が抗議運動を起こして、ちょっとした騒ぎになり体質改善の努力をせざるを得ない状況に追い込まれた結果だそうです。明治維新政府以来の「オイコラ!」体質は根深いもので、「地域に密着した愛される警察」などは何度目指したか判らないほどなのに、やはり「オイコラ!」の伝統を消すのは難しいようです。この時の薬が余程効いたのか、或いはやってみれば愛想の良い応対の方が自分達の気分も良いという事に気が付いたのか、態度が悪くなったという話は出ていないようです。

■それでも、免許書き換えに伴って義務化している安全運転講習会の日時を通知する「講習指定票」なる紙片を問答無用で渡すのはイカガなものか?何処かに「講習会の日時はこうなっておりますが、御都合の良い日をお選び下さい。」「はあ、では○日の午後にして下さい。」「承知しました。では、予約リストに入れておきますので、遅れないように願います。」などという丁寧な応対をしてくれる警察署を御存知の方はお知らせ下さい。お役所というところは、「忙しい」という庶民の感覚が分からないようで、それは自分達がいつも「暇だから」ではないかと勘ぐりたくなる場合が多々有りますなあ。まあ、「交通安全協会」の指導員の皆さんが、日夜交通安全のために走り回っていて、一週間に一度しか講習会を開けないのだと、信じてはおりますが……。いざという時には、警察と住民が協力して動かねばならないのですから、日頃から親しみと信頼できる態度を示していて欲しいものですなあ。

■物を捨てない、捨てるような物は極力買わない、要するにケチ臭い貧乏性の旅限無は、昔懐かしい教習所時代の教材を全部保存してあります。そんな変人は極少数なのでしょうか、免許の書き換えの度に印刷物を渡されます。今回も『交通の教則』『人にやさしい安全運転』『安全運転のために』という本と『ひとりでも簡単にできる安全運転自己診断』という小冊子を、何の説明も無いままに2800円の領収書と一緒に渡されました。「教習所時代の教則本を全部持っていますから要りません」と言ってはいけないようです。これも折角ですから無駄にしないようにと思いまして、中身よりも背表紙に印刷されている団体名を確認してみました。

■「警察庁交通局」、やはりここが一番偉いのでしょうなあ。財団法人・全日本交通安全協会、社団法人・全国指定自動車教習所協会連合会、福島県本部交通部、社団法人・福島県交通安全協会。警察官もお役人なのですが、警察官僚の「天下り」がまったく問題にされないのは奇妙な話です。三権分立がタテマエなのですから、立法府は司法を監視しなければなりません。数年前に少女監禁事件が発覚した時に、新潟県の雪山温泉郷で、「絶対にカネを懸けていない」麻雀をしていた警視庁の偉い人と県警のい偉い人が叱られたり、北海道警にロシアのマフィアよりも怖い刑事さんがいる事が判ったりした時にしか、「警察の闇」が報道されませんから、素人からは何がどうなっているのか、さっぱり分かりません。

■全国に張り巡らされている「交通安全協会」という組織の機能も内実もぜんぜん分かりませんが、某県で自動車免許を取得した際に、合格発表を確認してから免許書を受け取り、やれやれと思って歩く通路に「受付」が有って、「当然、入会するもの」という雰囲気を醸し出しているのに引かれて、協会推奨の初心者マークの購入と合わせて会費を払ってしまった記憶が有ります。一度「協力金」を払ってしまうと、免許の更新の度に「継続」の圧力を受けるようになるとはツユ知らず、長年協力して来たのでした。そして、今回は……。

■北海道警で発覚して全国に広まった「裏金」騒動の後、関連記事が週刊誌に掲載され、暴露本が何冊も出版されました。以前にも内幕ものを何冊か読んでいたので、外務省の次は警察か?と裏金話に興味を持って何冊か読んだ経験が有ります。ワイロが横行するのは貧しい後進国だとばかり信じ込んでいた者にとっては、驚くような話が沢山紹介されていて、腹が立つよりも悲しくなり、やがて恐ろしくもなったものです。最後の頼りになるはずの警察が、大きく歪んで深いところから腐ってしまったら、とても安心して生活も出来ませんし、可愛い子供を産んで育てようという気も失せてしまいます。まあ、警察や交通事故に関しては、別の機会に書くことになるでしょうが、単なる免許の書き換えでも、結構考え事のタネは見つかるものです。

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