司法試験論文合格モーニングゼミ

笹瀬健児の司法試験論文合格モーニングゼミ

問題分析について

2008-03-20 15:00:48 | Weblog
答案構成の過程は、次の3つに分けることができます。

まずは、問題分析
続いて、論点抽出
最後に、答案構成(狭い意味での)

最初の「問題分析」とは、問題文をしっかりと分析して把握する作業です。
問いの意味が分からなければ、何を答えれば良いかも分かりません。
採るべき価値判断も生まれてきません。

問題分析は、きわめて大切なスタートラインなのです。

では、自分が「問題文をしっかりと分析」できたかどうかを、
どうやって検証すれば良いのでしょうか。

それは、「空で問題文を言えるかどうか」によって検証できます。

より具体的には、問題文を何度も実際に口を動かして空で言ってみる。
1回、2回、3回、4回・・・
回を重ねるにつれて、だんだん簡単になり、スピードもどんどん早くなる。
そのうち、問題文の途中の部分からでも、最後の部分からでも、どの部分からでも、問題文を起こして空で言えるようになる。

空で言える程度まで問題分析が行われれば、問題文の読み間違いという致命的なミスを犯さずに済みます。
そして、不思議なことに、問題分析が終わったときには、採るべき価値判断も自ずと生まれているのです。


項目について

2006-08-30 23:28:20 | Weblog
項目が立てられていない答案があります。
正直、読みにくいです。
見出しのない新聞が読みにくいのと同じです。

項目があると、大まかな内容をつかむことができ、
大意を取り違える心配もありません。
心に余裕を持って読むことができます。
無駄な緊張を強いられることもないので、
読んでいても疲れません。

項目は立てられているが、
項目の意味がよく分からない答案があります。
大意を掴めないような項目は、立てる価値はありません。
灯りの消えた灯台のようなものです。

項目と項目以下の内容が噛み合っていない答案があります。
これでは、思考が論理的でないことを、わざわざ明言しているようなものです。


単純明快な文章の書き方

2006-08-20 07:52:18 | Weblog
実務で求められている良い文章は、一言で言い表せば、「単純明快」な文章です。
学者が百選で書いているような難解な文章では、司法試験には合格できません。
分かりやすく、一読直解でさっと読める。リズム・勢いのあるそんな文章。それが説得力を生むのです。

そのような文章を書くにはどうすれば良いのでしょうか。

1 一文を短くすること。
「長い文章には、いくつもの内容が盛り込まれているので、内容相互の関係も複雑になって、文章には捻れが起こりがちであり、文章も複雑になりがちです。」と書くのではなく、
「長い文章には、いくつもの内容が盛り込まれます。すると、内容相互の関係も複雑になります。いきおい文章には捻れが起こりがちです。つまり文章も複雑になりがちなのです。」と書きましょう。

2 指示語、「こと」「もの」は、極力使わないこと。
指示語はそれが何を指しているのか、しばしば分かりません。
みなさんも、何を指すのか分からない指示語の問題を国語で解かされた経験があるでしょう。しかし、そもそも、多くの人が解答に苦しむような指示語の用いられている文章は、悪文です。そんな悪文を国語の問題として出題すること自体、ナンセンスです。
「こと」「もの」も指示語と同じく、何を指しているのか、しばしば分かりません。
「良い文章を書くために必要はものは、いくつかありますが、このことも、良い文章を書くために必要なことです。」と書くのではなく、
「良い文章を書くために必要な「技術」は、いくつかあります。指示語や「こと」「もの」を使わないという「技術」も、良い文書を書くために必要な「技術」です。」と書いた方が、単純明快です。

論文出陣式完全燃焼レジュメ

2006-07-10 06:35:48 | Weblog
MKです。

1、合格答案の要件
① 問題文に答えていること(形式、内容)
② 論理性のある、分かりやすい文章であること
③ 基本(趣旨、定義、人権の重要性、制度)の理解を示し、そこから考えら
れていること
(正解を探すのではない)
⇒書面審査であることを忘れない(その答案ですべてが決まる)

2、直前期
・基本事項はシビアに
 基本はきちんと覚える。
 わかっているというのと書ける・できるというのは違う
 直前一週間は条文、定義、趣旨を最優先に確認
 要求されているのは基本的知識。応用部分は現場で基本から考える。
 用意してはダメ
 
3、本試験では
(1)試験前
・弱点ノート、定義、趣旨カードを確認
(2)試験中
・問題文をきちんと読み
 基本を守って 
 自分の持っている力のなかで精一杯書く
(自分の力を出し切ればそれでいい、それだけでいい)
・優秀答案をかかなければ受からないなどと思わないこと
 =合格基準を自分で作らないこと
・あきらめないというのはつらい
・自分にはイメージどおりの優秀答案を書ける能力があるなどと思わないこと
(3)試験後
・終わった科目は絶対に振り返らない
・気になっても確認しない 
・友達と終わった科目について絶対、絶対、絶対話さない
・ミスは気づかないのが一番
・すべて忘れる
・よくできたと思うこと


MMです。


1 「自分を信じる」ということ
  本試験では自分が特に注意して勉強していなかった
 分野についてもでることが多くあります。
  そういう時に、自分の考えを信じることができなければ
 のびのびとした答案は書けないと思います。

  私は本試験前に全科目きちんと回っていたわけでは
 ありませんでした。
  しかし、本番前には
 「頼りになるのは自分だけだから、自分だけは自分の
 実力があることを信じてあげよう」
 と思っていました。

2 無心で答案に向かうということ

  答案に対する姿勢としては個人個人でいろいろとあると思いますが、
 私はとにかく目の前の答案を自分の納得いく形(もちろん制限時間の   
 範囲内で)で書くということに集中していました。
  うまくいっても、うまくいかないときでも、あんまり試験の合否を
 考えたりしませんでした。
  試験の合否ばかり気にしても硬くなってしまうので、目の前の問題を
 解くことに集中するといいと思います。



MKです。

私は、去年の今頃、本当に受かる自信がなくて
でも落ちる勇気もなくて、本気で論文試験をボイコットしようかと
考えたりしていたものです。
受かる直前の人ほど恐怖を感じるはずです。
司法試験は、もうダメだと思った時でも自分をうまくコントロール
できるかということも試す試験でもあると思います。
自分をコントロールできない人に他人の人生を左右する仕事など
できないはずだからです。
堂々と戦ってきて下さい!!!
本当に心からみんなの合格を祈ってます。



ASです。

六科目、ニ問ずつ。
当時は本試験を野球の打席のように捉えてました。
12回の打席のうち、2,3回外野フライやファールチップ(22,23点)が
あっても全打席合計できちんと得点できてればいいのです。
大事なのは三振(21点以下)をしないこと。
そのためにはホームラン(25点以上)を狙って大ぶりしないこと。
手堅く一球一球ヒット(24.5点)を狙っていればおのずと大きなあたりも
出ますし、大きなあたりを狙っていけるチャンスも体で自然に感じるはずで
す。

私は初日の民法、商法で取り返しのつかないくらい大失敗しました。
商法ははっきりいって三振だったかもしれません。
帰り道は充実した顔で帰途に着く友人達をみるたびに
目の前がくらくらするような、全身の力が抜けていくような虚脱感を覚え、
知らず知らずのうちに涙を浮かべていました。

いろいろ考えずに帰って2時間ほど仮眠したおかげでなんとかまた翌日の刑法
の勉強に取り掛かることが出来ました。
いまおもえばこの数時間の気持ちの切り替えが合否の分かれ目だったような気
がします。

残りの二日間は初日で失った点をとにかく一点ずつ返していこうと
謙虚に、必死に力を出しきりました.
過去数年のどんな勉強よりも試験前日に読んだもののほうが
本番では明確に記憶に残ってます.
だからこそ最後の72時間、この長かった受験期間中最も大事な価値ある一
分、一秒をどれだけ無駄にしないか、
これこそが窮地から挽回するための最後のチャンスです.

初日は特に緊張して全く力が出せないままに終わるものだと覚悟しておいてく
ださい.
3日間の間には必ずやどうしても勉強に集中できない瞬間が来るであろうこと
も覚悟しておいてください.
でもそれは皆一緒です.
とにかく最後の最後まで常に逆転のチャンスを信じて一生懸命にバットを振り
つづけてください。



TAです。

まず、試験前のことですが、試験3日くらい前から試験当日(休み時間も含め
て)まで、何をどの順番で勉強するかをきちんと決めておくことです。
その時になって何をするかを考えてもあわててしまっていて何も手につかない
ことになりかねません。
難しいことではなく、基本的なものが良いと思います。
私の場合、Aランクの付いた問題の答案例を何度も読み返していました。
(こんなことに頼ってはいけませんが)民事訴訟法の問題(境界確定の問題で
した)は、本番直前にほとんど同じ問題の答案を読んだばかりだったので、か
なり楽をできた、ということもありました。

そして、試験中は、とにかく、自分のこれまでしてきた勉強に自信を持つこと
です。
自分が難しいと思えば、みんなが難しいはずです。
自分が分からなければ、みんな分からないはずです。
そう考えて、どんなことがあろうとも、あきらめずに緊張感を保ち続けること
です。
その能力も実力のうちだと思います。

試験のあとですが、とにかく早く次の科目に頭を切り換えることです。
そのためにも、やることは予め決めておくべきです。
周囲の人は、前の科目の問題について、いろいろと話をしていることと思いま
すが、参加するべきではないと思います。
(もちろんそういった議論をしていて合格した人はたくさんいると思います
が)私の場合は、その話題が聞こえてくるとひたすら逃げ回っていました。



SNです

「ミスっても受かりました。基本さえしっかりしてれば大丈夫です。
試験にのまれないように、胸を張って受けてきましょう。」



MKです。

 ・緊張して眠れない人へ  
     →  頭が冴え過ぎていると寝れなくなる事があるので、
        寝る直前まで勉強してつめこむのではなく、
        ちょっと前には勉強を終えて、風呂に入って、頭を静めてか
        らベッドに入るのがいいらしいですよ。
        まあ、とにかくいつも通りで、というのが一番ですね。
 
 ・緊張して実力が発揮できそうにない人へ
      → 始まってしまえば緊張なんか吹っ飛びます。
        頭に何にも入らないのなら、いままでやってきた
        テキストや、自分の書いてきた答案の出来のいいヤツを
        見返したりして自分の呼吸のペースを思い出すと
        いいと思います。
         そうそう、自分の書いた優秀答案(27点以上)を会場に
        持っていって見なおすと良いですよ。一番いい自分の答案の
        流れとリズムの感覚がカラダに浸透してきます。
 
 ・となりの席に超優秀者が座っていた時は
      → その人は無視しましょう。人のペースにながされない。
        
 ・初日から失敗した時は
      → アタマのいい人ほど緻密に答案を分析した結果
        失敗に気付いてしまい、落込むものです。
        失敗に気付かない人はアホなのだと自分に言い聞かせて
        (なかなか自分でもこれは納得できないのですが・・)、
        次に気持ちを切り替えましょう。

 ・知らない問題が出た時は
      → 合格者は皆、こういう時が一番楽しかったらしいです(私も
        含め)。
        とにかく今年が最後の本試験なので(今年合格する、という
        意味で)、
        この「楽しさ」を存分に味わってきましょう。

 ・ダメだと思ったとき
      → 私は思いませんでした。
        ヤバイとは思ったのですが、ダメだとは思いませんでした。
        ダメだと思ったら、やる気と集中力が低下していい加減な答
        案を書いてしまう事があったので、これだけは避けました。
 
 ・「出来た」「今年はうまく書けた」、と豪語している人をみたとき
      → この人とは同期になるんだと思いましょう。
        
 ・友達が落込んでいたら
      → 励まそうとして長電話すると大変な事になりますが、
        (私は3時間半電話してしまい、その結果徹夜しました)
        ここまでずっと一人でやって来たのではないので、
        励ましあうのもいいと思います。
        ここまで来たら、ガツガツやるより、気持ちです。
        人と話すのも、自分にとってもいいリラックスになります。
        (ただ、電話ばかりして現実逃避するのはいけませんが)

 ・うかる気がしない人へ
      → 受かるまで、うかる気はしないものです。
        色々言ってはいますが結局みんなそうですよ。
        とにかくあなたが一番あなたの事を知ってるはずですから、
        あなたが思うようにやればいいと思うのです、結局は。

 論文も受験生一人一人の自己主張の場です。
 用意された答えを探す場所ではないと思います。
 あなたにしか書けない論文を、あなた自身の手で心で、答案に記してきま 
 しょう。
 こんなこと、きっとこれが最後かもしれませんから。
 
 では、がんばってください。



TMです。


「司法試験は平等な試験です。
あなたが、この一年間 、周りの誰よりも、そして今までの自分よりも、
最終合格を目指して徹底的に自分を追い込めたと思えるならば、
必ず、最終合格を果たせるはずです。

最後まで走りぬいてください。
自分と真っ正面から向き合うことのできる
受験時代は、最終合格以上のものを
与えてくれることでしょう。
これは、本当のことですよ。

怖いと思います。
恐ろしいと感じるでしょう。
でも、ひるまず前を向いて挑んできてください。



AHです。

まず、前日の夜や、電車の中では、寝るように努めてましたが、
ようは疲れてなければいいんだと思って寝れなくてもあまり気にしないように
はしていました。
これは、全体を通してそうだったんですが、試験の直前は疲れないことをかな
り意識しました。

次に、駅から試験場に行くまでは、私は負けず嫌いなので「負けるものか」を
頭の中で連呼してました。
これは、極端ですが、ようは長い試験ですから、試験に向けて気持ちを高めて
いくためだったのだと思います。

会場についてからは、勉強に集中するようにして、試験を意識しすぎて逆に疲
れないようにしていました。

教室では、枠があるんだから、倍率は4倍程度、つまり前左右を落とせば受か
ると思ってました。
まあ、枠がなくても前後えるところに左右と思うだけですから、あまりかわり
ませんが。
とにかく、試験に飲まれないように、目標を目に見えるところに置いておいた
のでしょう。
さらに、直前の3ヶ月間、本当に死にそうになりながら頑張ってきたので、
勉強量だけは誰にも負けないと思って自分を強くもつようにしていました。

そして、1分前からは、ミスらない、時間に気をつけるということだけを意識
して、開始の合図を待ってました。
試験中は、問題に集中していて、最後あきらめそうになったとき以外は特に何
も考えませんでした。

次に、困難、負けそうになったときについて。

私は、初日の民法、商法で、かなりへこんでました。

このときは、帰りの電車の中で、パンを食べながら、ぼーっとそとを眺めて、
食べ終わったときには、切り替えられるような状態にもっていくようにしまし
た。
考えないというのは逆に意識してしまいそうなので、特に考えないとは意識し
ませんでした。
また、たしかこのときは、初日頑張った自分を慰め、気を紛らわせ、さらに元
気が出るように
生バナナミルクジュース350円を飲んだ上、グリーン車に乗って帰りまし
た。
自分にとってはささやかな贅沢だったので、いい気分転換になったのかもしれ
ません。
そして、これらのものを食べ終わった後は、次の日に挽回しようとだけ考えて
ました。

基本的に私は、最初の科目でだめなら2つ目で、初日だめなら二日目でという
ように、
常に「次で頑張ればいいだけだ、完璧にできるやつなんて100人もいない」
と思って試験に臨むようにしてました。
もっとも、思い込みのつよさ強さによる寝不足にだけはならないように気は
配っていましたが。
ちなみに、最後の科目であきらめそうになったときは、せっかくこれまでやっ
てきたのだから、あとちょっと頑張ろう、
これさ終えわれば休める、遊べると思って、それだけを楽しみに頑張りまし
た。



SKです。

私は、論文試験の二週間前にして、ものすごく体調を崩し、その後一週間、ほ
ぼ毎日病院に通うことになりました。
その時は、ほぼ全く勉強する事ができず、その年の合格を諦めかけた程でし
た。
というよりも、論文試験会場に行ける自信がないほど、体調が悪かったのです
が。
それゆえ、論文試験当日は、心の底から、「今日、この場所にいられるだけ
で、なんて幸せなのだろう」と感じていました。
そして、勉強は全く間に合っていなかったのですが、「ここまで来られたのだ
から、自分のできる限りの力を尽くして頑張ろう。それでだめなら仕方ない
じゃない!」と、おそらく周りにいる誰よりも勉強していないながら、周りに
いる誰よりも、ある意味”開き直って”、リラックスしていました。

司法試験合格後、何人かの友人と話していて、私のような、”アクシデント”
に見舞われた人が思った以上に多かったことに驚きました。
もしも、当日なにか大変な事が起きたとしても、”アクシデントを乗り越えた
時こそ、合格がやって来る”のであることを思い出して、頑張ってください!
窮地に立ったときも、そのような状況に負けないこと、そして、何よりも自分
自身に負けないことこそが、一番大切なのだと思います(これは、試験に限ら
ず、その後の人生においても、かもしれませんが・・・ちょっと偉そうでごめ
んなさい・・)。



TYです。

一番大切なのは笹瀬先生がいつも言っていることですが、
絶対にあきらめないことです。でも、普段から「絶対あきらめない」
と念じていてもあまり意味がないわけであって、肝心なのは
あきらめそうになったときにあきらめないことだと思います。
僕も択一論文口述を通じて何度か本当にあきらめそうになったことが
ありますが、そのときは、この苦しみは受かるためには必ず
乗り越えなければいけない苦しみだと思い、今、楽をして逃げても
来年に苦しみを持ち越すだけだと思い、がんばったつもりです。
やはりこの試験は何の苦しい思いもせずに受かることのできる
試験ではないと思うからです。

あともうひとつ、思うのは、試験に臨む上で、完璧に準備ができてい
ということはほとんどないと思うのですが、そのときに心の中で、
「ここまでしか準備できなかった」と思うのではなく、「ここまでは
準備したんだから大丈夫。」と思うことも大切ではないかと思います。
自分もこう考えることで、だいぶリラックスできたような気がします。



YSです。

今まで自分が努力して培ってきた力をすべて出す。
完全燃焼することを意識する。
どんなことがあっても、絶対にあきらめない。
試験は今年で最後なんだと思う。
結果はどうであれ、今の自分にできる最善のことをすればいいんだと思う。
それでだめだったら、自分は試験に縁がなかったということ。

本当に短いですが、去年は本当に精神的に追い込まれて
つらかったです。でも、逆に追い込まれていたから、
最後まであきらめずにできたんだと思います。



NTです。

絶対合格するんだという気合。
これがとにかく大事だと思います。
これがあれば、本試験の最中分からなくて
負けそうになったり、失敗して試験時間外で
負けそうになっても、今まで何のためにやってきたのか、
合格するためにやってきたんじゃないか、
と自分を奮い立たせることができるんじゃないかと思ったからです。
合格するためにはなんでもするんだというような感じ。

試験の始まる少し前には、
自分の納得できる答案をながめたりして、
イメージ作りもしました。本試験の直前期は
合格答案の要件を再確認して、
そのためにどう実践するのか、
(問題文に素直に向き合うこと、考え抜くこと、
判例等を指摘して、一点でも多く積み重ねようとすることなど)
とにかく、勝負するんだという気持を高めました。
知識の確認等ももちろん大事だとは思いますが、
本試験で使えるのは自分の中で既に定着しているものだと思います。
むしろ、本試験をどう迎えてどう頑張るのか
そういうことを自分なりのマニュアルとして、
再確認しておくことが、本試験で浮き足立ったり、血迷ったり
しないために大事なのではないでしょうか。
普通に力を出せることが大切だと思います。

これも、普段の力を出すために、ということですが、
本試験が始まって、問題文を目の前にしたら、
余裕を持つことと冷静でいることが大切だと思います。
絶対に何通かははねる答案は書けるし、
周りのレベルもたいして高くないのが実情なのですから、
自分にとって難しければ、他人にとっては
もっとわけがわからないはずなので、
とにかくじっくり考えて、問題文に答えるということ
をやっていれば自然と浮いてくると思います。
周りが、どんどん沈んでいくので、
自分が何とか頑張ってやっていけば
勝手に合格しているでしょう、ぐらいの余裕を
持つことができるといいと思います。
難しい問題が出れば、その方がむしろ、周りは
沈むし、長い問題が出れば、その分まわりは
整理しきれない、というように
予め考えておけば、マイペースになることができ
慌てふためいたり、血迷ったりせず、
自分なりの対処法で
十分合格ラインの答案が書けるはずだと思います。



RFです

僕が論文のときは、とにかく笹瀬先生の
「問題をしっかり検討する」ということ、あと「完全燃焼」ということを頭に
考えて受験しました。



MIです。

私の試験体験談。
 一日目前日 体調を整えるため早めに眠る。明日の持ち物チェック。
 一日目   早く起きて早めに会場へ。一科目目の憲法では頭が働かない。
       緊張感が高まっている。気を取り直して次の科目の勉強。自分
       のファイルで、直前に見直す部分に付箋を貼っておいて、そこ
       を見た。一応の安心のため。
       結果については考えず、次の日の準備。
       空腹の方が頭がさえるタイプなので、試験3日間は、カロリー
       メイトしか食べなかった。
 2日目   確か一科目だけだった。淡々とやって、覚悟を決めて、次の日
       の準備。
 3日目   最後なので、燃え尽きる。一応予備校の回答はもらうが、各所
       で回答が全くちがうので、あてにならないことを知る。でも、
       ついつい、次の日は解説講座に行ってしまう。
       冷静に解説を聞くと、けっこうできていないことが判明した 
       が、3日間、終わったときの自分の印象としては、合格確立は
       5分5分じゃないかと思っていた。

 試験中は、かなり張り詰めていたと思いますが、不安などマイナスの要素
は、気合に変えて乗り切っていました。
 できないものがあっても、気持ちの切り替えが大事だと思います。自分の力
を出し切れれば悔いがなく、あとはなるようになるだろうという心境になるの
で、とにかく集中して150%くらいの力を出せるようにすることです。
 私は答案構成など、笹瀬方式でやっていましたが、これで時間配分などは上
手く行ったし、問題文からはなれた回答はしないですむという安心感はもてま
した。知識勝負の部分も多いですが、それよりその場で考えて冷静に、構成を
して、はやく書けるかという能力が試されたりもするので、知識以外の要素で
の勝負どころもけっこうあるのではないでしょうか。
 今年からは2日間ということなので、栄養ドリンクを飲んでもいいし、普段
の力を存分に発揮なさってください。



JTです。

本試験に臨むにあたって。

☆本試験の前、予定通り勉強ができなくて、
かなりブルーになったとき、
→10分の1の確率で受かるんだ。
 それに、上位で受かる必要はなくて、引っかかればいいんだし、
 みんなそんなにできる人ばっかりじゃない。
 ここで落ち込んでる時間は試験後に後回しにしよう。
 どうしても駄目だったら、そのときは早く寝て、次の日早起きをして
 新たな気持ちでがんばってみる、ということをしていました。

☆本試験で、「あっちゃーっ」ということをしてしまったことに
気付き、もうやめたくなったとき、
→そもそも、普段の自分だって、
 いつも間違ったことや的はずれなことを
 書いてしまったりしているのに、
 本試験だけやらないわけがなかったんだ。
 できるわけがないことをできなかったからって、
 落ち込んでやる気をなくしたらもったいない。
 それに、ここまでやって来て、可能性を捨てるのは絶対にイヤだ。
 模範答案なんて書けるわけがないんだから、
 自分が今やれるうちでできる限りのことをやってこよう。
 (ベストを尽くすってこういうことかな、とこのとき実感しました。)
 今ここで諦めて、あとで「あのときは失敗をして落ち込んだから・・・・。」
 なんて自分に言い訳をしたくない。
 ここで諦めたら、後一年確定なんだ。
 とやれるだけのことはやってこようという気持ちを
 一番強く持っていました。



新司プレ民1-1出題意図

2006-06-30 07:32:33 | Weblog
本問は、きわめて実務的に大切なことを問うています。
それは、一言で言えば「事実の確定」ということです。

実務家の行っている作業は、この「事実の確定」です。
刑事事件でも民事事件でも、事実が確定しなければどうしようもありません。

被告人がどのような行為(事実)を行ったのか。それが分からなければ、刑罰法規の構成要件該当性の判断をする前提に欠けてしまいます。
まさに刑事事実認定は刑事事件の実務における最重要テーマなのです。
司法研修所の検察講義では、最初の授業で犯人性の確定の大切さを学びます。無辜の者を処罰してはなりません。犯人性の確定は、事実の確定の作業として、最初にやらなければならない作業なのです。

民事事件においても理は同じです。民法の各条が規定する要件に該当する事実(要件事実)の存否が調べられ、確定されてこそ、民法の規定する法的効果が発生することになるからです。
司法研修所の民裁講義では、確定されるべき要件事実についてしっかりと学びます。

証拠によって証明されなければならない事実が何かを理解し、その事実を証拠により確定していく作業、実務家の行っている作業はこれです。

本問は、「事実の確定」の重要性について、受験生がどこまで意識できているのかをまずは問うているのです。
したがって、答え方としては、まずきちんと「事実の確定」を行う。この「事実の確定」作業をいい加減にしたままで、法律論をどんなに論じたところで、砂上の楼閣となってしまうのです。


新司プレ民1-1解答例

2006-06-16 07:50:32 | Weblog
ロースクールの学生が、私の講義(形式面)に沿って答案を書いてくれました。
なかなか良く書けていると思います。参考にしてください。

第1 (a)の事実関係と類似していると仮定した場合
 1 事実関係の仮定
   (a)の場合に即して考えると、事実関係は次のようになる。
   すなわち、BはAに対して、Yに「資産を任せてもらえないか」
  と誘い、「まずは普通預金口座を開設し、そこにまとまった資金を
  預けてほしい」と言った。そこでAは「最初に、Bに1万円と印鑑
  預けて預金通帳を作ってもらい」、その後、「預金通帳と届出印」
  とともに5億円をBに預けた。その際、Aは、Bから、5億円を
  「自分の懐に入れていてY銀行には入金していな」かった。なお、
  初回の1万円の預金通帳は正規のものであった。また、Bは、
  「普通のサラリーマンでは考えられないような派手な身なりをして
  いた」。

 2 XのYに対する請求について
 (1)結論
    Xは、Yに対し、使用者責任(民法715条)に基づく損害賠
   償請求権として、金5億円から、Aの過失割合に相当する額を控除
   した分の支払いの請求をすることができる。
 (2)理由
    AB間で締結した5億円の預金契約は、Bの権限濫用によりYに
   効果帰属しない。しかし、Yは、BのAに対する不法行為(709条)
   を前提とする使用者責任を負うので、これに基づき、Aは、Yに対し、
   損害賠償請求権を有していた。
    したがって、Aの相続人Xも、Yに対し、同請求権を有する。
    ただし、賠償額は、容易にBを信じてしまったAの過失が考慮され、
   減額される(722条、417条)可能性がある。
    以下、詳細を述べる。
  ア 代理行為の主張
    Xは、第1に、AY間では、AとY代理人Bとの預金契約締結により、
   5億円の預金契約が成立し、同契約に基づき、預金返還請求権として
   5億円の支払いを請求できる。すなわち、Bは、「預金として入金する
   資金を預か」る権限を有していたので、Yは、Bに対し、預金契約締結
   の代理権を授与していた。そして、代理人BがYのためにするという
   顕名をして、預金契約という法律行為をしたので、99条1項に基づき
   Yに同契約の効力が帰属すると主張するものと考えられる。
  イ 代理行為の権限濫用による無効
    これに対し、Yは、Bに預り金5億円を自分の懐に入れるという権限
   濫用を行ったので、93条但書類推適用により、AY間の預金契約は
   無効であると主張するものと考えられる。このような主張は認められる
   だろうか。
  (ア)93条本文は、表意者の内心的効果意思と表示が不一致である場合
    の規定である。そうであるとすれば、たしかに、代理人の権限濫用の
    場合は、代理人は本人に効果帰属させる意思は有しているので、同条
    但書を直接適用することはできない。
     しかし、代理人は、法的な効果とは別に、経済的な効果は自己に
    帰属させようとしている。この点では、表意者の真意と表示が不一致
    であるということができ、同条但書を類推する基礎はある。
     したがって、本人の利益保護の観点から、同条但書の類推適用を
    認め、代理行為の相手が、権限濫用につき悪意・有過失であれば、
    本人への効果帰属は認められないと解すべきである。
  (イ)本件では、Aは、Bの権限濫用を知ることができたといえるだろう
    か。
     たしかに、預かり証にはYの用紙が使われているが、そこにはBの
    印しか押されていないこと、また、預かり金とともにBが預金通帳と
    届出印まで預かってしまっていること、さらにBが普通のサラリーマン
    では考えられないような派手な身なりをしていたことを考慮すると、
    Aは、少なくとも自ら通帳と届出印を持参して、Yの支店において
    手続をすべきであったといえ、Bの権限濫用を知ることができたと
    いえる。
     したがって、ABが締結した預金契約は、Aに効果帰属せず、Xは
    預金返還請求権を有しない。
  ウ Yの使用者責任
  (ア)Xは、第2に、Yの使用者責任を追及すると考えられる。
     すなわち、BはAに対し詐欺をしたので、不法行為責任を負う。
     そして、Bを雇用していたYは、Bの「使用者(715条1項)で
    あるから、Bの「事業の監督についての相当の注意をした」場合で
    ない限り、使用者責任を負う。
  (イ)それではYは「相当の注意」をしていただろうか。
     Yは、Bが営業の平社員としては考えられないような派手な身なりを
    していたにもかかわらず、特に監督をした事実は認められない。また、
    BがYの用紙を自由に使えるような状態にしていた。さらに、Yの預金
    契約代理権に、金額の上限を設けることもしていない。
     これらの事情を考慮すると、Yは「相当の注意」をしていたとはいえ
    ない。したがって、Yは使用者責任を負う。
  (ウ)ただし、Bを容易に信じたAにも過失が認められる。したがって、
    722条1項、417条により、XのYに対する請求金額は減殺される
    可能性がある。

 3 X社のYに対する請求について
 (1)結論
    X社は、Yに対し、何羅請求することができない。
 (2)理由
  ア X社は、BびX社に対する不法行為責任を前提とするYの使用者責任を
   追及する考えられる。この場合、Bの不法行為責任が認められるには、
   X社に生じた損害がBの行為から「通常生ずべき損害」(416条1項)
   であるか、「特別の事情」による損害の場合には、Bがその事情を予見
   できたことが必要となる(同条2項)。
    しかし、X社の損失というのは、料理学校の閉校、及びキッチン用品
   売上げの激減により生じたものであるが、これは、通常生じるものでは
   ないし、予見可能な事情から生じるものでもない。すなわち、Bの詐欺
   によりAがマスコミに取り上げられ心労により病気になり、その結果、
   X社の損失が生じることは、マスコミの興味やAの性格に左右される
   もので、社会において「通常」とはいえないし、また、Bが予見できた
   ともいえないのである。
  イ したがって、Bは不法行為責任を負わない。その結果、Yは使用者責任
   を負わず、X社はYに対し、何も請求できない。

第2(b)の事実関係と類似していると仮定した場合
 1 事実関係の仮定
   Bは、Aに対し、Bが作ったパンフレットを示しながら、実際には、Yの
  商品として存在しない外貨預金契約の勧誘をした。この契約を有利なものと
  考えたAは、Bに5億円を渡した。契約書には、Yの「正規の支店長印」が
  押されている。なお、契約書はBが「偽造したもの」で、支店長印もBが
  「勝手に押なつしたもの」であった。

 2 XのYに対する請求について
 (1)結論
    Xは、Yに対し、外貨預金契約に基づく預金返還請求権として、
   金5億円の支払いを請求することができる。
 (2)理由
    Bには、実際には外貨預金契約締結の代理権など付与されていなかった
   ものの、110条の表見代理規定によりABが締結した同契約の効果は
   Yに帰属し、これに基づく預金返還請求権を行使すれば、Aの相続人Xは
   Yに5億円の支払いを請求できる。
    以下、詳細を述べる。
  ア Xによる表見代理の主張
    Xは、預金返還請求の前提として、表見代理の成立を主張すると
   考えられる。
    すなわち本件では、Yは、Bに預金契約締結の代理権を授与していた。
   そして、AにはBの外貨預金契約締結の代理権があると「信ずべき正当な
   理由」(110条)があった。したがって、同条により表見代理が成立し、
   AB間の契約の効果はYに帰属すると主張するものと考えられる。
  イ 「正当な理由」の存在
    それではAに「正当な理由」があるだろうか。
    たしかにBの示したパンフレットは、パソコンで簡単に作れる程度の
   もので、Aがそれを軽信したことは否定できない。
    しかし、契約書にはYの「正規の支店長印」が押されており、これに
   対してAが高い信頼を寄せたとしてもやむを得ない。
    したがって、「正当な理由」はあり、表見代理が成立する。そして、
   XはYに対し、外貨預金契約に基づく預金返還請求権として、5億円の
   支払いを請求できる。

 3 X社のYに対する請求について
   X社は、Yに対し、BのX社に対する不法行為を前提に、Yの使用者責任
  を追及すると考えられる。
   しかし、X社の損失は、Bの損害賠償の範囲に含まれず、Bの不法行為
  責任は存在しないので、Yも使用者責任を負わない。
   したがって、X社はYに対し、何ら請求することができない。

第3(c)の事実関係と類似していると仮定した場合
 1 事実関係の仮定
   Bは、Aに対し、Yの「秘密のプロジェクト」のための資金が5億円不足
  しているので、5億円を貸して欲しい旨を述べ、Aは、5億円をBに渡した。
   しかし、Yのいうプロジェクトなどは実際には存在せず、さらに、Bは、
  Yが「返済を保証する」と約束したが、これも実際には存在しない保証で
  あった。
 2 XのYに対する請求について
 (1)結論
    Xは、Yに対し、何ら請求することができない。
 (2)理由
    Xは、第1に、保証契約の履行請求として、5億円の支払いを請求する
   と考えられるが、「書面」(446条2項)がないため、保証契約は成立
   せず、この請求は認められない。第2に、BのAに対する不法行為責任を
   前提とするY使用者責任に基づく損害賠償請求として、5億円の支払いを
   請求すると考えられるが、これもYに「相当の注意」(715条1項但書)
   があるので、認められない。
    以下、詳細を述べる。
  ア 保証契約の不成立
    446条2項は、「書面」がなければ保証契約は成立しないとする。
    本件では。AY間に保証契約に関する書面の存在は認められない。
    したがって、Xは、Yに対し、保証契約に基づく請求をすることはでき
   ない。
  イ 使用者責任の不成立
    そこで、Xは、Yに対し、使用者責任に基づく請求をすることが考えら
   れる。これに対し、Yは、「被用者」であるBの「選任及びその事業の
   監督について相当の注意をした」ので同条但書により使用者責任を免れる
   旨主張すると考えられる。
    それでは、Yは、Bの選任及び監督につき「相当の注意」をしただろう 
   か。
  (ア)第1に、選任について、Bは元大手証券会社の営業職員であり、職を
    失った原因もBの能力とは関係のない会社の破綻であった。したがって、
    銀行の営業職員として、また「平社員」としてBを選任することに
    「相当の注意」が欠けたとはいえない。
  (イ)第2に、監督について、BがAに述べた「秘密のプロジェクト」は
    全くの嘘であり、それに類似したプロジェクトをYがBに任せていた
    事実も認められない。また、Aの受け取った「預かり証」には、Yとは
    無関係の用紙が使われ、さらに、B個人の印しか押されていない。
    すなわち、Yは、Bに重要な役割を与えていなかったし、Yの用紙も、
    印も使わせていなかった。
     したがって、Bの監督につき、「相当の注意」はしていたといえる。
     以上より、Yは、Bの選任及び監督につき「相当の注意」をしていた
    ので、使用者責任を免れる。したがって、XはYに使用者責任に基づく
    請求をすることはできない。
 3 X社のYに対する請求について
   X社は、Yに対し、何ら請求することができない。
   すなわち、X社は、Yに対し、使用者責任に基づく損害賠償請求権として
  5億円の支払いを請求すると考えられる。しかし、X社の損失は、損害賠償
  の範囲に含まれず、使用者責任の前提となるBの不法行為責任が存在しない
  ので、Yも使用者責任を負わないのである。
                               以 上

新司プレ民1ー1問題分析(形式面)

2006-06-08 06:55:50 | Weblog
1 「何らかの請求をすることができるか」
  と問われています。

  したがって、「請求」は、
   「損害賠償請求」
  に限られず
   「契約に基づく本来の履行の請求」
  もありうるということです。

  また、損害賠償請求するとして、請求の根拠は
   「契約責任」
   「不法行為責任」
  のいずれもありうるということです。


2 「それぞれの場合に即して」

  「それぞれの」とは
    「(a)~(c)のそれぞれの」
  という意味です。

  「場合」とは
    「事実関係」
  という意味です。

  「に即して」とは
    「と類似していると仮定して」
  という意味です。

  したがって、答え方は次のようになります。
   「(a)の場合に即して考えると、事実関係は、次のようになる。」

3 「法律関係を明らかにしつつ」
  法律構成を行うことは当然なのに、なぜわざわざ
   「法律構成を明らかにしつつ」
  とあるのでしょう。

  要は、法律構成を
   「単純明快に」
  示しなさい。よく分からないものはダメ
  ということなのでしょう。

  したがって、答え方は次のようになります。
   「Xは、Yに対し、
    ○○○○に基づく○○○○請求権(法律構成)として
    ○○○○の請求(生の請求:主文)をすることができる。」

  つまり、判決のいわゆる
   「よって書き」
  の要領で書くことになります。

新司法試験プレテスト問題(民事系科目)第1問 問1

2006-06-03 07:35:07 | Weblog
次の文章を読んで,以下の問に答えよ。

ある日,弁護士であるあなたのところに,X社の代表取締役であるXがやってきて,①死亡した母Aの相続人として,また,②X社の代表取締役として,A及びX社が被った損害の賠償を求めたい旨の相談をした。
最初の相談において,Xから聞いた事実関係は,以下の事情聴取の結果要旨1にまとめてある。

【事情聴取の結果要旨1】
1.X社は,著名な料理研究家のAが,料理教室の運営と自社ブランドのキッチン用品の販売を目的として平成元年に設立した株式会社であり,代表取締役を務めたAの個人人気に支えられて,好調な業績を上げていた。
2.Y銀行は,大正14年に無尽業を目的として設立された後,相互銀行への組織変更を経て,平成元年に普通銀行となった株式会社である。
3.Y銀行は,主として関東地方を営業基盤としていたが,バブル経済の崩壊後,主要な貸出先の経営破たんが相次ぎ,財務状態が悪化していた。
4.Aは,X社の設立に際し開業資金の融資を受けたことから,個人財産の多くはY銀行の丸の内支店に開設した口座に預金していた。しかし,取引上の付き合いから,他の銀行や信用組合などにも預金があり,その額は数億円に上っていた。Aは,もともと貯蓄や投資には頓着がなかったが,平成17年4月にペイオフが完全解禁されることを知り,預貯金の扱いや投資に関心を持つようになっていた。
5.Bは某大手証券会社の営業職員であったが,会社が破たんしたことから職を失い,平成15年にY銀行に再就職し,丸の内支店に配属された。Bは,年齢が40代半ばで,支店長代理の肩書を与えられていたものの,入社してから日が浅いこともあり,取引先を回って預金として入金する資金を預かったり,その他の金融商品の販売の勧誘を行う権限のみを持つ平社員にすぎなかった。
6.平成15年の秋に,北関東の地方銀行が破たんしたことから,マスコミは一斉に,この銀行と貸出先が類似しているY銀行もまた,早晩破たんするのではないかという憶測記事を書き始めた。
7.その直後から,預金の流出が激しさを増すのを目の当たりにして,Bは,つぶれる前に何とか荒稼ぎをしようと,いろいろな手口で多数の顧客から多額の資金を詐取したようである。
8.Aもまた被害者の一人で,Bの口車に乗せられ,平成16年の秋ごろ,他の信用組合等に預けていた個人財産5億円の預金を下ろして,Bに渡した。ただ,X が最初に相談に訪れた時点では,AがBと結んだ本件契約の契約書が見つからず,Aが死亡しているため,契約内容の詳細は分からなかった。
9.今年になって,Bが多数の顧客を相手に詐欺的行為を行っており,その被害総額は50億円を超えていることが明らかとなったが,既にBは行方をくらましており,警察による捜査が続けられていた。
10.この事件でAが被害を受けたことを知ったマスコミは,堅実なイメージでお茶の間に人気だったAの思わぬアクシデントを,連日のように面白おかしく取り上げた。巨額の損害を被った上に,Aが軽率であったとする心ない論調が目立ったことから,高齢であったAは,心労の余り病床に着いてしまった。その結果,X社が運営する料理教室は閉校に追い込まれ,X社ブランドのキッチン用品も売上げが激減し,多額の損失を計上した。
11.しばらくして,Bが自殺していることが判明したが,Bがどのような手口で顧客から資金を集めたか,集められた資金がどこにどういう形で使われたのかは現在のところ不明で,Bの遺族にも損害を賠償する資力はなかった。
12.他方,病床にあったAもまた,料理教室を再開させることができないまま無念な思いで他界し,X社は,Aの唯一の相続人である娘のXにゆだねられた。
(事情聴取の結果要旨1の内容は以上である) 。

相談を受けたあなたは,Xに,本件にかかわる契約書があればそれを探し出すことや事情を知っている従業員にさらに詳細を尋ねるよう指示した。その上で,Bの詐欺に遭った被害者を探したところ同種被害を受けた者が作ったB詐欺事件被害者の会の参加者の話からBの手口にはおおよそ次の三つの型があることが分かってきた。なお,Xやこれらの顧客の話は,事実であることが確認できた。

(a) 顧客αの話の概要
私は,ある高校の校長を務めておりましたが,ある日,父兄の一人から紹介されたというBが放課後に校長室を訪ね,「退職後の生活にゆとりを持たせるには,確実で安全な投資を専門家の助言の下で行うのが良い。」としきりに勧めました。そして,新聞記事を見せて,「間もなく銀行が証券業に参入できるようになるのでその時点でY銀行に資産運用を任せてもらえないか。」と誘われ、「まずは普通預金口座を開設し,そこにまとまった資金を預けてほしい。」と言われました。
そこで,最初に,Bに1万円と印鑑を預けて預金通帳を作ってもらいました。その数日後,他に預けていた預貯金を解約したり,退職金の前借りをしたりして,3,000万円をBに預けました。その際,いったん渡された預金通帳と届出印もBに預けました。BからはY銀行の用紙にBの印が押された3,000万円の預り証をその場で受け取りました。
約束した日にBが通帳や印鑑を持参しないので心配していましたところ,事件が報道されたので,すぐにY銀行に事情を聞きに行きました。ところが,Y銀行は,「確かに初回の1万円の預金通帳は正規のものであるが,3,000万円の預り金はBが自分の懐に入れていてY銀行には入金していないから,Y銀行は一切関知しない。」と,けんもほろろの対応で,途方に暮れています。
それどころか対応した行員は、「校長先生ともあろう人がいったいどんな投資話を聞いてそんな大金を預けたのですか。」とか「Bは普通のサラリーマンでは考えられないような派手な身なりをしていたのだから,立派な校長先生ならBが横領に手を染めていたことくらい察することができたはずだ。」などと被害者の私をまるでBの片棒を担いだかのように言うので私も本当に頭に来てしまいました。

(b) 顧客βの話の概要
私は,小さな会社を経営しています。業績は今一つパッとしないのですが,財産家だった父の残した不動産が遊んでいるので,これを元手に大きな商売がしたくて,良い投資先を探していました。知人の紹介でBがやってきてパンフレットを示しながら「自分は富裕層の顧客だけを相手に,特別の外貨預金を勧誘している。この外貨預金は,まとまった金額の預託が必要で解約手数料が高いとの欠点はあるが,半年ごとに支払われる利息は年利6%以上であり,しかも,元本についてはY銀行が支払を保証するので危険は少ない。」と勧めました。私は為替リスクを考えても,この低金利時代にひどく有利な提案だと考え,不動産を売って,Bに1億円の小切手を渡しました。契約書にはY銀行の正規の支店長印も押されています。実際に,最初の6か月後には,300万円がY銀行の名義で私の指定口座に振り込まれていましたので,すっかり信用しておりました。
しかし事件後のY銀行の説明では、「Y銀行はそのような外貨預金商品を扱っていない。Bにはそのような契約を勧誘したり締結したりする権限は全くなく,契約書はBが勝手に偽造したものだろう。支店長印もBがすきを見て持ち出して勝手に押なつしたものにちがいない。」とのことでした。確かに,こんなパンフレットなんかはパソコンで簡単に作れると言われれば,軽率に話に乗ってしまった私が愚かだったと反省しています。しかし,逆に,「BがY銀行の経理システムを悪用してY銀行名義で私の口座に振り込んだ300万円を返してほしい。」などと言われたのには,納得ができません。

(c) 顧客γの話の概要
Bに金をだまし取られたのは,私ではなく,80歳になる私の母なんです。母は,以前からBと顔見知りで,Bの勧誘で何度か投資の契約をしていたようです。また,Bに預金通帳や印鑑を預けて払戻しを頼んだこともあるほど,母は,Bを孫のようにかわいがって信頼していました。
何でも2か月ほど前にBが母のところにやってきて、「私はY銀行の秘密のプロジェクトで新しい投資商品の開発を行っているが,そのための資金が500万円不足している。このままでは,実験は失敗して銀行にいられなくなってしまう。来月末まででいいから500万円を貸してほしい。もちろんお預かりする資金はY銀行が返済を保証するし高い利息もお払いします。」と頼んできたそうです。母は,そんな大金は持ち合わせがないといったん断ったのですが,Bが何度も懇願するのに根負けして,1週間ほど後に,別の信用金庫の預金を下ろしてBに渡してしまいました。その1か月後に,約束どおりBが利息と称する5万円をY銀行の封筒に入れて母のところに持参したものですから,母は,すっかりBを信用してしまっていました。
しかし事件後に私がY銀行に問い合わせたら、「そんなプロジェクトの話はない。Bが渡した預り証は,当行の所定の用紙ではなく,Bが肩書付の署名をしてはいるがB個人の印を押したもので当行は無関係である。」と言われました。今でもBの犯罪を知らない母には本当の話をどう伝えたら良いのか分かりません。

あなたは,AがBからどういう形で資金をだまし取られたかが分からないので,本件事案が(a)~(c)のそれぞれの事実関係と類似していると仮定して考えてみることにした。
XやX社がY銀行に対して何らかの請求をすることができるかを,それぞれの場合に即して法律構成を明らかにしつつ検討しなさい。

新司プレ公1出題意図

2006-06-01 07:08:47 | Weblog
今日は、出題意図を探ってみましょう。

この問題を見て、私が最初に思い浮かべたのは、いわゆる暴対法です。
テロ組織と暴力団。両者は、暴力的手段によって問題を解決しようとする点、また、団体であって組織化されている点が、たいへんよく似ています。
問題の「指定」という規制手段については、暴対法ですでに法律化されています。

暴対法においては、規制の必要性が認められることには争いがありませんが、規制の手段方法が適切でなければならないとされています。つまり適正手続の保障の問題です。
したがって、本問のテロ対策法でも、最大の論点は、「如何に適正手続を保障しながらも、規制の網をかぶせていくか」という点なのです。

このあたりは、きわめて実務的な発想といえましょう。
「違憲だ!」と声高に叫んでみても、何の解決にもなりません。実務的には有益な議論とはいえません。
テロ活動に対する規制の必要性がまぎれもなく認められるのであれば、規制の手段を、憲法および各種法規の枠組みの中で、これらと矛盾しないように構築していくこと。これこそが必要なのです。
「違憲だから規制してはならない」というのではなく、「違憲ではない規制方法としてはどのようなものがあるのか」という視点が、実務的にはとても大切になってくるのです。

テロは、解決すべき緊急かつ重大な国際問題です。対策をどのように講じたらよいのか、皆で知恵を絞らなければなりません。テロには国境がありません。だから、自国の問題にとどまらないのです。どのような規制を施すか、国際社会における日本の役割が問われる場面でもあります。

法律家は、このような現実具体的な問題について、地に足のついた現実具体的な解決方法を見いだしていくことが仕事です。そこで、新司法試験でも、このような問題を出題して、法律家としての素養を備えているかを見ようとしているのです。

出題意図がこのようなものであるとすれば、解答のバランスとしても、その出題意図に応えたバランスでなければなりません。
つまり「違憲の疑いを軽減させる方策」ということを、出題者は一番聞きたいのです。
「憲法上の問題点を箇条書きで挙げる」というのは、規定演技です。
勝負は自由演技にかかっているのです。つまり、「どれほど現実具体的な形で『違憲の疑いを軽減させる方策』をプレゼンテーションできるか」です。

自由演技の素材については、皆さんすでに学習済みです。なぜなら、刑事手続について学んでいるからです。つまり適正手続の保障の現実具体的な内容についてはすでに十分に学んでいるからです。刑事訴訟法と刑事訴訟規則に存在する各種手続規定は、自由演技をするうえで、おおいに参考になるでしょう。もちろん暴対法についての知識があれば、よりよいことは言うまでもありません。

ロースクールの学生の答案のほとんどは、この自由演技の部分が薄かったです。
小問1の規定演技について書きすぎて、小問2は残念ながら時間切れ、という答案が多かったのは、残念でした。
実体的に違憲かどうかということよりも、手続的保障をどのように図るかということの方が、実務的にはずっとずっと大切であり、そのような実務的な視点をもっていれば、頭でっかちの答案にはならなかったと思います。
手続の適正が実体の適正を担保しているのです。行政手続法の制定経緯や、裁量過程の統制といった議論に思い馳せれば、本問の出題意図にもたどり着けたはずです。
もっとも、このあたりは、ロースクールで教えている教員が、実務的な視点をどれほど学生に教授できているのかにもかかっているともいえ、ロースクールにおける教育の質が問われている問題ともいえるでしょう。

新司プレ公1解答例

2006-05-30 07:11:52 | Weblog
私の解説講義内容に沿ってロースクールの学生が答案を書いてくれました。
なかなか良く書けていると思います。参考にしてください。

1について
第1 要綱の第3の4項が「国家公安委員会は、当該組織が特に我が国に
  おける公共の安全にとって脅威となると判断する場合には
   『特定テロリズム組織』の指定を行うものとする。」と規定し、
  適正手続なしに特定の団体に不利益な効果を伴う指定を行うことが
  できるとしている点が、
   憲法31条の保障する適正手続をないがしろにし、違憲ではないか。


第2 要綱の第4が「何人も『特定国際テロリズム組織』の構成員となるなど
  『特定国際テロリズム組織』の活動に加わってはならない」と規定して、
   これに違反した者に刑罰を科すと規定し
  特定の団体に加入する自由及び特定の団体の活動の自由を
  制限している点が、
   憲法21条1項の保障する結社の自由を侵害し、違憲ではないか。

第3 ・・・

2について
第1 憲法違反となる疑いがもっとも強いと考えられるものについて
 1 結論
    要綱第3の4項は、憲法31条に反し違憲となる疑いがもっとも強い。
 2 理由
    要綱第3の4項は、「特定国際テロリズム組織」の指定について規定
   しているが、この指定は特定の団体に対する不利益な効果を生じさせる
   にもかかわらず、適正手続を保障する憲法31条に違反する疑いがもっとも
   強い。以下詳しく述べる。
 (1)要綱第3の4項による指定は、「特定国際テロリズム組織」とされた団体
   に加入する自由を制限し、また、当該団体の活動を制限する(要綱第4)
   点で、一定の不利益を与える行政処分である。
    そこで、憲法31条を適用し、指定が行われる際に適正な手続を設ける
   べきではないだろうか。本件における指定のような行政手続に憲法31条
   が適用されるか否かが問題となる。
 (2)たしかに、憲法31条は「法律の定める手続によらなければ」「刑罰を科
   せられない」と規定していることから、刑事手続のみについての規定であっ
   て行政手続には適用されないとも思える。
    しかし、憲法31条が適正手続を保障する趣旨は、国家による人権侵害を
   防止しようとする点にある。そして、行政手続においても、国家の行為によ
   り国民の人権が侵害される危険がある点は変わらない。したがって憲法31
   条は行政手続においても適用される必要がある。
    そこで、同条が行政手続に適用される余地は認められると解すべきであ 
   る。
    ただし、福祉国家の理念(憲法25条参照)から迅速・円滑な行政活動の
   要請もあるため、当該行政処分の性質に応じて、憲法31条の適用・不適用
   を判断すべきである。
 (3)本件における指定は、それがなされた場合、指定を受けた団体に加入した
   り、その活動に参加しただけで「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
   に処する」と規定されている(要綱第4)。したがって、要綱第3の4項に
   よる指定は、実質的には刑事手続に近接するような性質を有しているので、
   憲法31条を適用すべき行政処分といえる。
 (4)以上より、要綱第3の4項による指定を行う際には、適正手続を経る必 
   要がある。そうであるにもかかわらず、資料3の要綱の中には、指定につき
   異議のある者が反対の書面を提出できるとしているだけで、何ら適正な手続
   が設けられていない。したがって、誤った指定が行われ、人権侵害を生じさ
   せる危険がある本件の指定は、憲法31条に反し違憲となる疑いがもっとも
   強い。

第4 違憲の疑いを軽減させる方策について
 1 「特定国際テロリズム組織」の指定をする際に、国家公安委員会が、指定の
  対象となる団体に対して、指定が行われることの告知、及び、当該団体が弁解
  防御をする場としての聴聞の制度を設けるべきである。これは当事者に不利益
  が及ぶことを知らせ、反論する機会を与えることで、誤った判断がなされるの
  を防ぐ趣旨である。
 2 指定の対象となる団体に告知をする際には、理由を付記し、かつ警察庁長官
  が国家公安委員会に提出した「指定請求書」(要綱第3の1項)の写しを添付
  する制度を設けるべきである。これは当事者に、なぜ自分たちが公共の安全に
  とって脅威となるものと判断されたのかを知らせることで、十分な弁解の準備
  を可能にするためである。
 3 審査基準をあらかじめ定めておき、かつそれを公示する制度も、2と同様の
  趣旨で設けるべきである。
 4 聴聞の際に、行政側が提出する証拠は聴聞の前に当事者に開示し、閲覧・謄
  写を認めるべきである。これも、十分な弁解の準備を可能にするためである。
 5 聴聞は、公開の場で、かつ行政側と指定の対象となる団体が攻撃防御を行い
  第三者が審判を行うという当事者主義的構造で行われるべきである。
   また聴聞の期日は、告知から相当の期間を経た時期を指定すべきである。
  これは審査の適正を図り、また、真実と異なる事実による判断を防止し、さら
  に十分な弁解の準備を可能にするためである。
 6 聴聞には、指定の対象となる代理人の出席、及び、当該団体以外に利害関係
  を有する者の参加を認める制度を設けるべきである。これは、当事者の能力を
  補充するためである。
 7 指定の可否は、国家公安委員会以外の、例えば有識者等により構成される委
  員会に諮問すべきである。これは、行政による恣意的な判断を防止するためで
  ある。
 8 指定が行われた場合は、指定を受けた団体へ、その旨を通知する制度を設け
  るべきである。この通知には理由を付記すべきである。これは不服申立の準備
  のためである。
 9 指定がなされた場合の不服申立制度を設けるべきである。これは、誤った判
  断がなされた場合の救済の余地を確保するためである。
10 指定の必要性がなくなった場合に、当該指定を取り消す制度を設けるべきで
  ある。ここでは、指定取消自由を決定しておくべきである。これは、必要のな
  い人権侵害を防止するためである。
                                   以上