★★★☆☆
あらすじ
ポーカーゲームで同席したギャンブラーと意気投合し、行動を共にするようになった男は、次第にギャンブルにのめり込んでいく。
原題は「California Split」。108分。
感想
ギャンブラーの男と彼と行動を共にするようになった主人公、二人の男がギャンブルに興じる物語だ。ポーカーゲームのテーブルで二人は知り合うのだが、最初は二人がグルなのかと思ってしまい、本当に初対面だと分かると今度はギャンブラーが主人公を騙すのではないかと疑ってしまって、落ち着かないスタートだった。
二人の娼婦と暮らし、競馬やボクシングなど賭けが行われる様々な場所を巡って暮らすギャンブラーの生活に魅了された主人公は、仕事を放り出して彼と行動を共にするようになる。前半はそんな二人の日々が描かれていく。散々に貶していた馬に賭けて大儲けしたりと、ギャンブルの世界あるあるをコミカルに描いているようだが、ギャンブルをしない自分にはいまいち伝わって来なかった。
ギャンブルにのめり込み、ついには借金を重ねるようになってしまった主人公は、ギャンブラーを連れ、全財産を持って大勝負に出る。後のない状況にヒリヒリとした緊迫感あふれる空気になりそうなものだが、そうはならないのが面白い。場には和やかな雰囲気が漂っている。
同じテーブルに着く人たちは金持ちで皆余裕があり、主人公が決死の覚悟で来ているなんて知らないのだから当然ではある。その後のクラップス(サイコロ投げ)で、皆でにぎやかに盛り上がる様子は祝祭感すらあって、借金や暴力といったギャンブルの負の側面だけではなく、ちゃんと楽しい面も描こうとしているように感じた。ポーカーのテーブルで初対面の老若男女が談笑しながらゲームに興じるシーンも、心和ませて良いものだった。
だがお祭りはたまにあるからいいのであって、それが毎日続けば倦んでくる。それに気付けた主人公は抜けることが出来たが、多くは惰性で続けて中毒となり、抜けられなくなるのだろう。そんな世界で楽し気に暮らしているギャンブラーは、生粋のパーティー・ピープルといったところだろうか。
エリオット・グールド演じる陽気なギャンブラーのキャラクターに頼るところの大きいコメディではある。だが悲壮感も殺伐とした雰囲気も漂わないギャンブル映画で、新鮮な気持ちで楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督/製作 ロバート・アルトマン
出演 ジョージ・シーガル/エリオット・グールド/アン・プレンティス/グウェン・ウェルズ